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無常十首
はかなしな千年おもひし昔をも夢のうちにて過ぎにける世は
蜘蛛の絲につらぬく露の玉をかけて飾れる世にこそありけれ
現をもうつゝとさらに思はねば夢をもゆめとなにかおもはむ
さらぬことも跡方なきを分きてなど露をあだにもいひもおきけむ
燈火のかゝげぢからもなくなりてとまる光をまつわが身かな
水ひたる池にうるほふしたゝりを命にたのむいろくづやたれ
みぎは近くひきよせらるゝ大網にいくせのものの命こもれり
うら/\と死なむずるなと思ひ解けば心のやがてさぞと答ふる
いひ捨てゝ後のゆくへを思ひはてばさてさはいかに浦島の箱
世の中になくなる人をきくたびにおもひはしるを愚なる身に
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