University of Virginia Library

風わづらひて山寺にかへり入りけるに人々訪ひてよろしくなりなば又と申し侍りけるに各心ざしを思ひ知りて

さだめなし風わづらはぬ折だにもまた來むことを頼むべき世に
あだに散る木の葉につけておもふかな風さそふめる露の命を
われなくばこの里人や秋ふかき露をたもとにかけてしのばむ
さま%\に哀おほかる別かなこゝろをきみがやどにとどめて
歸れども人のなさけにしたはれて心は身にもそはずなりぬる