University of Virginia Library

筑紫にはらかと申すいをのつりをば十月一日に おろすなり師走に引きあげて京へはのぼせ侍りそのつりの繩はるかに遠くひきわたし てとほる船のこの繩にあたりぬるをばかこちかゝりてかうけかましく申してむつかし く侍るなりその心を詠める

腹かつるおほわた崎のうけ繩に心かけつゝすぎむとぞおもふ
伊勢島やいるゝつきてすまふ波にけこと覺ゆるいりとりの蜑
磯菜つみて波かけられて過ぎにける鰐の住みける大磯の根を