University of Virginia Library

ひまもなくふりくる雨の足よりも數かぎりなき君が御代かな
千代ふべき物をさながらあつむとも君が齢をしらむものかは
苔うづむゆるがぬ岩のふかき根は君が千歳をかためたるべし
むれ立ちて雲井にたづの聲すなり君がちとせや空に見ゆらむ
澤べより巣立はじむる鶴の子は松のしたにやうつりそむらむ
大海のしほ干て山になるまでに君はかはらね君にましませ
君が代のためしになにを思はましかはらぬ松の色なかりせば
君が代は天つ空なる星なれやかずもしられぬこゝちのみして
ひかりさす三笠の山のあさ日こそげに萬代のためしなりけれ
萬代のためしにひかむかめ山のすそ野のはらにしげる小松を
かずかくる波にしづえの色そめて神さびまさるすみの江の松
若葉さす平野の松はさらにまたえだに八千代の數をそふらむ
竹の色も君が緑にそめられていく世ともなくひさしかるべし