University of Virginia Library

八月つきの頃夜ふけて北白川へまかりけるよしある樣なる家の侍りけるに琴の音のしければ立ちどまりて聞きけりをり哀に秋風樂と申す樂なりけり底を見いれければ淺茅のつゆに月のやどれるけしき哀なり垣にそひたる荻の風身にしむらむとおぼえて申し入れてとほりけり

秋風のことに身にしむこよひかな月さへすめる宿のけしきに