University of Virginia Library

雪のふりけるに

松の下は雪ふるをりのいろなれや皆しろたへに見ゆる山路に
雪つみて木もわかずさく花なれば常磐の松も見えぬなりけり
花と見るこずゑの雪に月さえてたとへむ方もなきこゝちする
まがふ色は梅とのみ見て過ぎ行くに雪の花には香ぞなかりける
折しもあれ嬉しく雪のうづむかな來こもりなむと思ふ山路を
なか/\に谷の細道うづめゆきありとて人のかよふべきかは
谷の庵に玉の簾をかけましやすがるたるひののきを閉ぢずば