University of Virginia Library

無常の歌あまた詠みける中に

いづくにか眠り/\てたふれふさむと思ふ悲しき路芝の露
おどろかむと思ふ心のあらばやは長きねぶりの夢も覺むべく
風あらきいそにかゝれる蜑人はつながぬ舟のこゝちこそすれ
おほ波にひかれ出でたる心地してたすけ舟なき沖にゆらるゝ
なき跡をたれと知らねどとりべ山おの/\すごきつかの夕暮
なみたかき世をこぎ/\て人はみな舟岡山をとまりにぞする
死にてふさむこけの莚をおもふよりかねて知らるゝ岩陰の露
つゆ消えば蓮臺野におくりおけねがふ心を名にあらはさむ