University of Virginia Library

高野の奧の院の橋の上にて月あかゝりければもろともにながめあかしてその頃西住上人京へ出でにけりその夜の月忘れがたくて又おなじ橋の月の頃西住上人のもとへいひつかはしける

事となく君戀ひわたる橋の上にあらそふものは月のかげのみ