University of Virginia Library

伏見院御歌

正應二年十一月廿八日、賀茂の臨時の祭の還立待たせ給ふ程、上達部殿上人あまたさぶらひて夜もすがら御歌合など有りける朝ぼらけ雪さへ降りていとおもしろく侍りけるを、同じ五年のおなじ月日臨時の祭にて雪降りて侍りければ、おぼし召し出づる事ありて、御硯の蓋に雪を入れて、淨妙寺關白其の頃こもりゐて侍りけるに遣はさせ給ひける

廻り逢ふ同じ月日は思ひいづや四とせ舊りにしゆきの曙