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風雅和歌集卷第二十 賀歌
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20. 風雅和歌集卷第二十
賀歌

民部卿爲定

百首の歌奉りし時

かぎりなき惠を四方に敷島のやまと志まねは今榮ゆなり

皇太后宮大夫俊成

慶賀の歌とてよめる

誠にや松は十かへり花さくと君にぞ人のとはむとすらむ

俊頼朝臣

題しらず

大よどの濱の眞砂を君が代の數にとれとや波もよすらむ

大藏卿行宗

君が代の程は定めじ千年ともいふは愚になりぬべければ

從三位頼政

前參議經盛、賀茂の社にて歌合し侍りけるに、祝の心を

斧のえをくたす仙人歸りきて見るとも君が御代は變らじ

冷泉前太政大臣

寳治の百首の歌の中に、寄日祝といふことを

三笠山峯たちのぼる朝日影空にくもらぬよろづよのはる

山階入道前左大臣

岩戸出でし日影は今も曇らねば畏き御代をさぞ照すらむ

花山院前内大臣

わが君の大和島根を出づる日は唐までもあふがざらめや

大江宗秀

おなじ心を

天の下誰かはもれむ日のごとくやぶしもわかぬ君が惠に

前大納言俊定

山月を

千世ふべき龜のを山の秋の月くもらぬ影は君がためかも

後山本前左大臣

嘉元の百首の歌に、祝

曇なく照しのぞめる君が代は月日と共に盡きじとぞ思ふ

春宮大夫實夏

寄月祝を

曇なく高天の原に出でしつき八百萬代のかゞみなりけり

二品法親王慈道

叙品の後、題をさぐりて歌よみ侍りけるに、禁中月といふ事を

祈りこし雲居の月もあきらけき御代の光に身を照すかな

貫之

延喜の御時、御屏風の歌

あたらしく明くる年をば百年の春の始とうぐひすぞなく

能宣朝臣

正月の頃ある所のうぶやにてよめる

時しもあれ春の始に生ひたてる松は八千世の色もそへなむ

法橋顯昭

人の家に子の日の小松をうゑて侍りけるに雪のふりかゝるを見てむすびつけゝる

雪ふれば花さきにけり姫小松二葉ながらや千世をへぬ覽

能宣朝臣

清愼公の七十の賀の屏風の歌

はる%\と遠き匂ひは梅の花風にそへてぞ傳ふべらなる

權大納言長家

長元六年、内裏にて翫新成櫻花といふことを

色かへぬ松も何なり萬代にときはに匂ふはなもさければ

中務

廉義公賀志侍りける時、屏風の繪に、人の花みてかへる所

飽かでけふ歸ると思へど花櫻折るべき春やつきせざりける

前大納言爲氏

寳治元年三月三日西園寺へ御幸ありて翫花といふことを講ぜられけるに

千年ふるためしを今に始めおきて花の御幸の春ぞ久しき

山階入道前左大臣

君が代に逢ふもかひある糸櫻年のを長く折りてかざゝむ

右近大將通忠

櫻花千年の春のをりにあひて君がときはの色ならはなむ

深心院關白前左大臣

正和三年西園寺にて一切經供養せられける次の日、翫花といふ事を講ぜられけるに

けふよりは散らでしにほへ櫻花君が千年の春をちぎりて

山階入道前左大臣

君が爲移しうゑける花なれば千世のみゆきの春も限らじ

後深草院少將内侍

櫻花あまた千年のかざしとやけふの御幸の春にあふらむ

入道前關白左大臣

藤を

行末を松の緑に契りおきて木高くかゝれやどのふぢなみ

從二位隆博

文永八年正月叙位に一級ゆるされ侍りけるに内裏にて、禁庭松久といふ事を講ぜられけるによみ侍りける

千世ふべき雲居の松にみつる哉一志ほまさるはるの惠は

圓光院入道前關白太政大臣

嘉元二年、伏見院に三十首の歌奉りける時、社頭祝

大原や神代の松の深みどり千世もと祈るすゑのはるけさ

祝部成仲

七十の賀しけるに人々の歌おくりて侍りければよみ侍りける

諸人の祝ふことの葉みるをりぞ老木に花のさく心ちする

建禮門院右京大夫

小松内大臣の家に菊合し侍りけるに人にかはりてよみ侍りける

移しうゝる宿の主人も此の花も共に老せぬ秋ぞかさねむ

康資王母

前中納言匡房二度帥になりたるよろこび申しつかはすとて

かくしあらば千年の數もそひぬらむ二度みつる箱崎の松

土御門院小宰相

寳治の百首の歌の中に、寄松祝

神路山もゝえの松もさらに又いく千代君に契りおくらむ

後京極攝政前太政大臣

建仁元年三月、歌合に、寄神祇祝といふ事を

君が代の志るしとこれを宮川の岸の杉むら色もかはらず

民部卿爲定

文保三年、百首の歌の中に

九重のみ垣に志げるくれ竹の生ひそふ數は千世の數かも

前大納言尊氏

建武元年中殿にて竹有佳色といふ事を講ぜられけるに

百敷や生ひそふ竹の數ごとに變らぬ千世の色ぞみえける

從二位爲子

後伏見院立坊のはじめつかた遊義門院よりたかむなのはうきを奉られて、これはすゞか、竹か、いづれと見わきてと女房の中へ仰事ありければ、つゝみ紙にかきつけ侍りける

春秋の宮居色そふ時にあひて萬代ちぎるたけとこそみれ

宮内卿永範

法性寺入道前關白の家にて鶴契遐年といふ事をよみ侍りける

葦たづは千年までとや契るらむ限らぬ物を君がよはひは

冷泉前太政大臣

續古今の竟宴に

むかし今ひろへる玉藻數々に光をそふるわかのうらなみ

後京極攝政前太政大臣

和歌所にて皇太后宮大夫俊成に九十の賀給はせける時

百年に十年およばぬ苔の袖けふのこゝろや包みかねぬる

祝部成茂

七十の賀の後よみ侍りける

君がため又七十ぢを保ちてもあかずや祈る神につかへむ

藤原光俊朝臣

寳治二年後嵯峨院に百首の歌奉りける時、杣山を

世を照す日高の杣の宮木もり繁きみかげに今か逢ふらし

院御歌

百首の御歌の中に

水上の定めし末は絶えもせずみもすそ川の一つながれに

寄國祝を

あし原やみだれし國の風をかへて民の草葉も今なびく也

前左大臣

河といふ事を

くちなしの色に流るゝ河水も十度すむべき君がみよかな

祭主定忠

雜の歌に

みことのりみだれぬ道の障りなく豐葦原の國ぞをさまる

如願法師

後鳥羽院の御時五人に二十首の歌をめして百首にかきなされける時、祝の歌

あひ難き御代にあふみの鏡山曇なしとはひともみるらむ

兼盛

天禄元年大甞會の悠紀方の屏風の歌、近江國勢多の橋をよめる

御調物たえずそなふる東路の勢多のなが橋音もとゞろに

前中納言匡房

承保元年大甞會の巳の日の退出の音聲の樂急、ふなせのはし

御調物はこぶふなせのかけ橋に駒の蹄のおとぞたえせぬ

おなじ屏風の歌、人の家の門田にいねかる所あり。

君が代は賤の門田にかる稻の高くら山にみちぬべきかな

ひおきのむら人おほき所

曇なき君が御代にはあかねさす日おきの里も賑ひにけり

寛治元年、大甞會の屏風に、小松原のもとにながるる水あり、その所にすむ人あり。

小松原したゆく水の凉しきに千年のかずを結びつるかな

皇太后宮大夫俊成

仁安元年大甞會の辰の日の退出の音聲、音高山

吹く風は枝もならさで萬代とよばふ聲のみおとたかの山

正二位隆博

正應元年大甞會の主基方の屏風に、奈加良川岸菊盛開行人汲下流

汲む人のよはひもさこそ長月やながらの川の菊のした水

前大納言俊光

永仁六年大甞會の悠紀方の屏風、長澤池端午日採菖蒲

君が代の長き例に長澤のいけのあやめも今日ぞひかるゝ

正二位隆博

おなじ大甞會の主基方の屏風、増井納凉の人あり。

凉しさをます井の清水結ぶ手にまづ通ひくる萬代のあき

正二位隆教

暦應元年大甞會の悠紀方の神樂の歌、近江國鏡山

岩戸あけし八咫の鏡の山かづらかけて現しき明けき世は