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18. 菟玖波集卷第十八
賀連歌
天暦御製
正月朔日もちひのかがみに書き付けさせ給ふける
承香殿女御
と侍る句に
伏見院御製
伏見殿にて田植の頃、百韻の連歌侍りける中に
民のしわざは時もたがへず
源家長
後鳥羽院に奉りける連歌の中に
君にあふみの逢阪の山
前大納言尊氏
上下も思ひあひぬるまつりごと
今上御製
いつはらぬ神の慮もひとつにて
前太政大臣
嘉暦四年七月、内裏の連歌に
車の右に乘りてかへりき
導譽法師
人よりも人の上なる君として
救濟法師
勅なれば名も白鷺の羽を垂れて
善阿法師
千年をふるもまたは呉竹
二品法親王
その身榮ゆるこれぞ梨本
前大納言尊氏
今も榮ゆる家はこのいへ
權大納言實夏
人よ聞け君に仕ふる家の風
左兵衞督直義
風雅集撰まれ侍りし頃、家に百韻の連歌侍りけるに
いにしへの風をただしく學ぶ世に
前大納言經繼
七の御孫子に君ぞあふべき
民部卿爲藤
つかへて君が惠ある世は
後嵯峨院御製
建長五年八月、朔日百韻連歌の中に
道あれかしと世をおもふかな
前大納言忠信
千代をこめたる松風の聲
常盤居入道太政大臣
榮ぞまさる北のの藤竝
藤原忠頼朝臣
二品法親王家北野の千句に
我が君の惠かからぬ人はなし
源親光
仕へんと賢き世をや待ちつらん
良阿法師
曇りなき月はかがみの都にて
十佛法師
みな人の君にぞ思ひつくば山
前大納言爲家
いつもさやけき君が御かげに
西園寺入道前太政大臣
海山かけて久しかれとは
後鳥羽院御製
人人に連歌召されけるついでに
千代の色そふ庭のまつが枝
關白前左大臣
君が代にのこれる民もありぬべし
小槻景實
國栖人のそのつくつくしを奉れ
前大納言爲家
千とせふるためしは君ぞはじむべき
後宇多院御製
花と鳥との春ぞ久しき
伏見院御製
正和四年五月、伏見殿百韻連歌に
世々のむかしのあともかはらず
前大納言爲氏
君が代をときはかきはに祈るかな
左近中將義詮
君と人とや思ひあふらむ
源信氏
御代も治まり國ものどけし
源頼泰
この御代に戸ざし忘るる不破の關
性遵法師
伊勢のみや昔は君のくらゐにて
藤井知春
ながれをうくる君ぞ君なる
前大納言尊氏
釣垂るる人も世にこそつかへけれ
弓矢をとるもわたくしぞなき
二品法親王
君に我隔てのなきは心にて
跡をのこすは今の此きみ
關白前左大臣
底清き水と魚との如くにて
後宇多院御製
元亨元年十月、龜山殿の百韻連歌に
私なきを人や知るらん
前中納言有忠
と侍るに
前大納言實教
おなじ雲井の春ぞ久しき
丹治忠守朝臣
つたへてぞ道とまよはぬ位山
關白前左大臣
たかてらす日の我が君とあらはれて
前大納言尊氏
いつはりもなく世こそ治まれ
西國しづかならず聞え侍りし頃、常在光院百韻の連歌に
たえてはや西の海には波もなし
後光明照院前關白左大臣
嘉暦四年七月、内裏連歌に
たえずこそ砌にもすめ御溝水
忠房親王
君が代はかしこき時とつかへつつ
從二位家隆
誰もきけ君とあひぬる我が道は
救濟法師
君が代は龜の尾山の松の鶴
無生法師
つれなき松の色はかはらじ
寂忍法師
寶治元年三月、法勝寺花の下にて
ふりにし世世に立ちかへりつつ
前大納言尊氏
左兵衞督直義家の連歌に
左兵衞督直義
と侍るに
山階入道前左大臣
萬代も神のゆふしで君がため
後嵯峨院御製
久しかるべき宿にひかれて
前大納言爲家
千年ふるてふ宿のしるしに
前中納言定家
後鳥羽院に奉りける三字中略・四字上下略連歌に
御かげをしげみ萬代をすめ
御法ぞかくる君が千歳を
從二位家隆
我が君の千歳のかげもゆかしきに
後宇多院御製
呉竹のみどりかはらぬ色ながら
前大納言經繼
と侍るに
前中納言有忠
と侍るに又
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