University of Virginia Library

紀貫之

世中心ぼそく覺えて常ならぬ心ちし侍りければ公忠朝臣のもとによみて遣はしける、このあひだ病重くなりにけり。

手に結ぶ水に宿れる月影のあるかなきかの世に社有けれ

この歌よみ侍りて程なくなくなりにけるとなむ家の集にかきて侍る。