拾遺和歌集 (Shui wakashu [Book 1]) | ||
16. 拾遺和歌集卷第十六
雜春
凡河内躬恒
題志らず
よみ人志らず
右近
北宮の屏風に
紀貫之
延喜十五年齋院の屏風の歌
中務卿具平親王
正月に人々まうで來りけるに又の日のあしたに右衛門督公任の朝臣のもとに遣はしける
贈太政大臣菅
流され侍りける時家の梅の花を見侍りて
よみ人志らず
桃園の齋院の屏風に
中納言安陪廣庭
題志らず
一條攝政
天暦の御時臺盤所のまへに鶯のすを紅梅の枝につけて立てられたりけるを見て
源寛信朝臣
おなじ御時梅の花のもとに御いしたてさせ給ひて花の宴せさせ給ふに殿上のをのこども歌つかうまつりけるに
參議伊衡
内裏の御遊侍りける時
貫之
清和の七のみこ六十賀の屏風に
よみ人志らず
題志らず
源順
圓融院の御時三尺の御屏風十二帖の歌の中
右衛門督公任
北白川の山庄に花のおもしろく咲きて侍りけるを見に人々まうで來りければ
安法法師
鞍馬にまうで侍りける折に道をふみたがへてよみ侍りける
紀貫之
延喜十五年齋院の屏風に霞をわけて山寺にいる人あり
能宣
小一條のおほいまうちぎみの家の障子に
よみ人志らず
山里に忍びて女をゐてまうできてある男のよみ侍りける
中宮内侍
人に物いふと聞きてとはざりける男のもとに
藤原長能
女のもとになづなの花につけて遣はしける
右衛門督公任
東三條院の御四十九日のうちに子日いできたりけるに宮の君と云ひける人のもとに遣はしける
惠慶法師
子日
よみ人志らず
題志らず
順
齋院の子日
清原元輔
右大將實資下??に侍りける時子日しけるに
大中臣能宣
正月叙位の頃ある所に人々まかりあひて子日の歌よまむといひて侍りけるに六位に侍りける時
元輔
除目のころ子日にあたりて侍りけるに按祭の更衣のつぼねより松をはしにてたべ物を出してはべりけるに
順
康和二年春宮の藏人になりて月のうちに民部丞にうつりて二たびよろこびを述べて右近の命婦がもとに遣はしける
よみ人志らず
題志らず
弓削嘉言
帥のみこ人々に歌よませ侍りけるに
賀朝法師
春ものへまかりけるにつぼ裝束して侍りける女どもの野邊に侍りけるをみて何わざするぞと問ひければ野老ほるなりと應へければ
よみ人志らず
かへし
題志らず
躬恒
よみ人志らず
躬恒
延喜の御時月次の御屏風のうた
よみ人志らず
櫻の花の咲きて侍りける所にもろともに侍りける人の後の春ほかに侍りけるにその花を折りてつかはしける
壬生忠見
みづし所にさぶらひけるに藏人所の男子ども櫻の花を遣はしたりければ
御導師淨藏
ある人のもとに遣はしける
貫之
題志らず
僧正遍昭
春花山に亭子法皇おはしまして歸らせ給ひければ
藤原忠房朝臣
京極の御息所かすがにまうで侍りける時國司の奉りける歌あまたありける中に
兼盛
圓融院の御時三尺の御屏風に花の木の本に人々あつまりゐたる所
元輔
清愼公の家にて池のほとりの櫻の花をよみ侍りける
藤原長能
上總よりのぼりて侍りける頃源頼光が家にて人々さけたうべけるついでに
兼盛弟
清愼公の家さぶらひにともしびのもとに櫻の花を折りてさして侍りけるをよみ侍りける
平きんざね
山櫻を見侍りて
藤原長能
ごんくうち侍りける時にはたやき侍りけるをみてよみ侍りける
よみ人志らず
石山のたうのまへに侍りける櫻の木に書き付け侍りける
貫之
敦慶式部卿のみこのむすめ伊勢がはらに侍りけるが近き所に侍りけるに瓶にさしたる花を送るとて
源公忠朝臣
延喜の御時南殿にちりつみて侍りける花をみて
よみ人志らず
題志らず
順
菅原輔昭
三月閏月ありける年八重やまぶきをよみ侍りける
屏風のゑに花のもとにあみひく所
貫之
延喜の御時御屏風に
一條の君貞平のみこの女
亭子院京極の御息所にわたらせ給うてゆみ御覽じてかけ物いださせ給ひけるにひげこに花をこき入れて櫻をとぐらにしてやますげを鶯にむすびそへてかくかきて加へさせたりける
如覺法師
ひえの山に住み侍りける頃人のたき物をこひて侍りければ侍りけるまゝにすこしを梅の花のわづかに散り殘りて侍る枝につけて遣はしける
左大臣
右衛門督公任こもり侍る頃四月一日にいひ遣はしける
公任朝臣
返し
元輔
四月朔日よみ侍りける
貫之
延長四年九月二十八日法皇御六十賀京極の御息所のつかうまつりける屏風の歌、藤の花
皇太后宮權大夫國章
延喜の御時藤壷の藤花の宴せさせ給ひけるに殿上のをのこども歌つかうまつりけるに
右衞門督公任
左大臣のむすめの中宮の寮にてうじ侍りける屏風に
よみ人志らず
人麿
題志らず
重之
屏風のゑに
實方朝臣
みちの國にまかり下りてのち時鳥の聲を聞きて
よみ人志らず
女のもとに白き絲をさうぶのねにしてくすだまをおこせ侍りてあはれなる事どもをある男のいひおこせて侍りければ
元輔
廉義公の家の障子に
大中臣輔親
題志らず
大伴像見かたみトカ
坂上の郎女に遣はしける
健守法師
螢をよみ侍りける
貫之
延長七年十月十四日もとよしのみこの四十賀し侍りける時の屏風に
贈皇后宮懷子
一條攝政の北のかたほかに侍りける頃女御と申しける時
躬恒
題志らず
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