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新勅撰和歌集卷第七 賀歌
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7. 新勅撰和歌集卷第七
賀歌

前關白

貞永元年六月きさいの宮の御方にて始めて鶴契遐年といふ題を講ぜられ侍りけるに

鶴の子の又やしは子の末までも古き例をわが世とやみむ

關白左大臣

久方の天とぶ鶴の契りおきし千代の例の今日にもある哉

周防内侍

寛治八年八月高陽院の家の歌合に、月の歌

常よりも三笠の山の月かげの光さしそふあめのしたかな

藤原行家朝臣

祝の心をよめる

天のした久しき御代の志るしには三笠の山の榊をぞさす

後法性寺入道前關白太政大臣

百首の歌よませ侍りける時、祝の歌

八千代へむ君がためとや玉椿はがへをすべき程は定めじ

太宰大貳重家

席田に群居る田鶴の千世もみな君が齡にしかじとぞ思ふ

富家入道前關白太政大臣

堀川院の御時竹不改色といへる心をよませ給うけるに

色變へぬ竹のけしきにしるき哉萬代ふべき君がよはひは

藤原長能

長徳五年左大臣の家の歌合に

君が世の千年の松の深みどりさわがぬ水に影はみえつゝ

實方朝臣

題志らず

枝かはす春日の原の姫小松いのるこゝろは神ぞ志るらむ

清原元輔

天徳二年右大臣の五十賀の屏風

我宿の千代のかは竹ふし遠みさも行末のはるかなるかな

中納言兼輔

勅使にて齋宮に參りてよみ侍りける

呉竹のよゝの都と聞くからに君は千年のうたがひもなし

公忠朝臣

一品康子内親王裳き侍りけるに

皆人のいかでと思ふ萬代のためしと君をいのる今日かな

中納言朝忠

天暦の御時御子たちの袴き侍りけるに

大原や小鹽の小松葉を志げみいとゞ千年の影とならなむ

讀人志らず

題志らず

嬉しさを昔は袖に包みけり今夜は身にもあまりぬるかな

權中納言顯基

長元六年關白志ら川にて子日志侍りけるに

千とせまで色やまさらむ君がため祝ひそめつる松の緑は

大炊御門左大臣

永治二年崇徳院攝政の法性寺の家にわたらせ給うて松契千年といへる心をよませ給うけるに

移しうゑて志めゆふ宿の姫小松幾千代ふべき梢成るらむ

權中納言長方

後白川院の御時八十島の祭に住吉に罷りてよみ侍りける

神垣やいそべの松に事とはむ今日をば世々の例とやみる

權中納言兼光

仁安三年攝政閑院の家にて對松爭齡といへる心をよみ侍りける

うつし植うる松の緑も君が代もけふ社千代の始なりけれ

前左大臣

建仁三年正月松有春色といへる心ををのこどもつかうまつりにけるに

常磐なる玉松が枝も春くれば千代の光やみがきそふらむ

權大僧都良算

御祈つかうまつりて思をのべ侍りける

俯して思ひ仰ぎて祈る我君の御代は千歳に限らざるべし

入道前太政大臣

老の後春の始によみ侍りける

春はまづ子日の松にあらず共ためしに我を人や引くべき

堀河右大臣

天喜四年閏三月中殿に翫新成櫻花歌

今日ぞ見るたまのうてなの櫻花のどけき春にあまる匂を

權大納言信家

常よりも春ものどけき君が代にちらぬ例の花をみるかな

前關白

寛喜元年十一月女御入内の屏風京花人家元日かきたる所

初春の花の都に松を植ゑて民の戸とめる千代ぞ志らるゝ

入道前太政大臣

江山人家柳ある所

名にしおはゞ志くや汀の玉柳いり江の浪に御舟こぐまで

正三位知家

池邊藤花

春日さす藤のしたかげ色みえてありしにまさる宿の池水

内大臣

四月山田早苗

御田やもり急ぐ早苗に同じくば千代の數とれわが君の爲

前關白

八月山野に鹿たてる所

今ぞこれ祈りしかひよ春日山思へばうれしさをしかの聲

人家翫月

わが宿の光をみても雲の上の月をぞ祈るのどかなれとは

田家西收興

年あれば秋の雲なすいな莚かり志く民のたゝぬ日ぞなき

入道前太政大臣

秋をへて君が齡のあり數にかり田の稻もちづか積むなり

小野宮右大臣

圓融院の御時中將公任と碁つかうまつりてまけわざに銀の籠に虫入れて弘徽殿に奉らせ侍りける

萬代の秋を待ちつゝ鳴きわたれ岩ほに根ざす松虫のこゑ

紫式部

九月九日從一位倫子菊の綿を給ひて老のごひすてよと侍りければ

菊の露わかゆばかりに袖ふれて花の主人に千代は讓らむ

元輔

菊をよみ侍りける

わが宿の菊の志ら露萬代の秋のためしにおきてこそみめ

康資王母

長月に匂ひそめにし菊なれば霜も久しく置けるなりけり

權大納言長家

後冷泉院の御時、殘菊映水といへる心を人々つかうまつりけるに

神無月のこるみぎはの白菊は久しき秋の志るしなりけり

大宮右大臣

承保三年大井河に行幸の日よみ侍りける

大井川ふるき御幸の流にてとなせの水も今日ぞすみける

前中納言伊房

おほ井川けふの御幸の驗にや千代に一たびすみ渡るらむ

入道前太政大臣

寛喜元年女御入内の屏風十一月江邊寒蘆鶴立

千代ふべき難波の芦のよをかさね霜のふりはの鶴の毛衣

權中納言定家

泥繪屏風石清水臨時祭

散りもせじ衣にすれるさゝ竹の大宮人のかざすさくらは

前中納言匡房

承保元年大甞會主基の歌丹波國かつらの山

久かたの月の桂の山人もとよのあかりにあひにけるかな

寛治元年悠紀の歌近江國三村の山

時雨ふる三村の山の紅葉ばはたがおりかけし錦なるらむ

宮内卿永範

仁安三年悠紀の風俗歌

天地をてらす鏡の山なればひさしかるべき影ぞみえける

正三位家衡

貞應元年悠紀の歌玉野

色々の草ばの露をおしなべて玉野のはらに月ぞみがける

權中納言頼資

同じ主基の風俗歌いはや山

ふか緑玉松が枝のちよまでもいはやの山ぞ動かざるべき

御屏風の歌いはくら山

足引のいはくら山の日影草かざすや神のみことなるらむ

讀人志らず

題志らず

月も日も變り行けどもひさにふる三室の山のとこみや所

西三條右大臣

延喜六年日本紀竟宴の歌譽田天皇

年へたる古き浮木をすてねばぞさやけき光とほく聞ゆる

貞信公

豐御食炊屋姫天皇

堤をば豊浦の宮につきそめてよゝをへぬれど水は洩さず

井手左大臣

天平十八年正月雪深くつもりて侍りけるあしたみこたち上達部ひきゐて太上天皇の中宮西院に參りて雪はらはせ侍りける御前にめして大御酒給ひける次でに奏し侍りける

ふる雪の白かみ迄に大君に仕へまつれば貴くもあるかな

聖武天皇御製

右大臣の左保の家に御幸せさせ給うける日

青丹善奈良の都の黒木もて造れる宿はをれどあかぬかも