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おらが春 (Ora ga Haru) | ||
是爲白井一之老人所藏、小林一茶翁手書之俳諧巻、可愛玩者昔者鄭板橋、手書其集、 鏤而公於世、翁之集亦己梓、可謂板橋以後第一人也、書之還之
戊寅二月 菱陀生
世々の變風元禄に至りて正雅やゝ定まりしよりこのかた、諸家の風調おの/\その得 失によりて風姿極りなしといへども、かの向上の一路は踏たがふ事なく、ひばりのく ちさかしく、蚯蚓の鈍くおかしげなる、又は蓬の直よかに、蕀のくねれるも、みな自 然の風骨を具して、しかも正雅にもとらざるは、天の妙といふべし。其一妙を得たる しなぬの一茶、一期の風雅言行ともに洒落にして、焔王も腮をとき、獄卒も臍をかゝ ゆべし。しかはあれど、毛頭れいの向上の本意を失はず、實に近世獨歩の俳道人とせ むか。こたび同國の一之、家に傳へし坊が遺稿をその儘上木して、追慕のこころざし を盡す。予も亦舊知己をわすれず、坊が命終の年、柏原の舊里を訪ひて往事をかたる に、あるひは泣、あるひはわらひてわかれぬ。其俤まぼろしに見へて、扨こそこの集 の序者にたてるも、これ又因縁によれるべらし。
嘉永壬子春涅槃日
東都
瓢隱居逸淵
おらが春 (Ora ga Haru) | ||