紫の里近きあたり、とある門に炭團程なる黒き巣鳥をとりて、籠伏せして有けるに、 其夜親鳥らしく、夜すがら其家の上に鳴ける哀さに
盗人おのが古郷に隱れて縛れしに
御成り場所に、鳥どもの餌蒔をしたふ不便さに
さすがのさつ男も髻切りしは斯る折になんありける。