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新後拾遺和歌集卷第十三 戀歌三
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13. 新後拾遺和歌集卷第十三
戀歌三

寶篋院贈左大臣

待戀の心を詠み侍りける

僞に又やなりぬと思ふより待つにつけても濡るゝ袖かな

後光嚴院御製

應安六年三月十八日三首の歌講ぜられしついでに契待戀と云ふことを詠ませ給うける

僞の有る世を知らぬ身になして障るや喞つ言の葉にせむ

後岡屋前關白左大臣

貞和二年百首の歌奉りけるに

誠ぞと思ひ定めぬ夕暮のなほざりならずなど待たるらむ

前大納言爲兼

弘安の百首の歌に

さりともと心ひとつに頼めども言ひし儘なる夕暮も無し

花園院御製

貞和二年百首の歌召されし次でに

頼めしも忘れむと思ふ今日の日をくるとな告げそ入相の鐘

前内大臣

應安六年三月

[_]
[8]廿音
の歌講ぜられし時、待戀を

契しも頼むとまではなきなかに何と待たるゝ夕なるらむ

源頼春朝臣

戀の歌の中に

僞の有る世も知らず待てとのみ言ひし夜毎の頼まるゝ哉

民部卿爲藤

文保三年百首の歌奉りけるに

僞は待つとばかりのちぎりにて心に頼むゆふぐれぞ無き

從二位業子

題志らず

憂きは身になれぬる後も僞をたのむや負くる心なるらむ

大江冬時

僞にならふうき身は中々に契らぬくれやたのみたるらむ

法印覺爲

僞を頼むだにこそはかなきを契らぬ暮のなどまたるらむ

源和義朝臣

僞と思ひながらも契りしや夕ぐれごとのたのみなるらむ

平英時

さりともと思ふ心やよわるらむ今は待たれぬ夕ぐれの空

從二位長衡

さのみよも來ぬ僞はかさねじと心に待たぬ夕ぐれぞなき

順徳院御製

鳥の音の曉よりもつらかりきおとせぬ人の夕ぐれのそら

從一位宣子

如何にせむ障らば明日の頼だに知らぬ契の宵のむらさめ

後光嚴院御製

延文の百首の歌召されけるついでに、寄蛛戀を

小蟹の蛛のふるまひ兼てより志るしも見えば猶や頼まむ

權大納言爲遠

かねて憂き心盡しとなりにけり頼をかくるさゝがにの絲

源氏頼

題志らず

徒らに待つは苦しき僞をかねてより知るゆふぐれもがな

惟宗行冬

更けぬとも暫し恨みじなほざりに頼めし人の契ならねば

祝部成光

權大納言爲遠の家にて人々三首の歌詠み侍りけるに、待戀を

更くるまで猶待たれしは僞にならばぬさきの心なりけり

宗仲法師

題志らず

僞の數添ふなかは契りてもたのみならはぬ夕ぐれのそら

津守國夏

獨寐のよはをも如何で明さまし訪はれぬ暮は思ひ絶ゆ共

曉勝法師

歸るさのよその恨を待ち明す身の類ひとはいかゞ思はむ

藤原俊頼朝臣

待つ人の來ぬ夜の數に較ぶれば枕のちりも積らざりけり

津守國貴

現にてこぬ憂さよりも逢ふと見る夢は幾夜も待つべかり鳬

前大納言俊定

僞のつらさにかへて詠むれば月ぞ來ぬ夜の數は知るらむ

大炊御門右大臣

ともすれば雲間隱れに待たれつゝ空頼めするよはの月哉

監命婦

男の人の國に罷りて、歸り來むと云ひける程も過ぎにければ詠みて遣しける

人を待つ門は暗くぞなりにける頼めし月のうちに見えねば

從三位頼政

深夜戀と云ふ事を

見よかしな廿日餘りの月だにも今迄人に待たれやはする

源氏清

題志らず

逢はざりしつらさを喞つ言の葉に今だに濡るゝ新枕かな

藤原宗遠

戀の歌に

なみだのみ片敷く袖の新枕いくとせ濡れて今宵干すらむ

多々良義弘朝臣

逢ふ夜だに猶干しやらぬ我袖や恨みなれにし涙なるらむ

法印淨辨

初逢戀の心を

自づから逢ふ夜はかはる心かな涙や戀のひまを知るらむ

前關白近衞

延文の百首の歌奉りける時、寄關戀

戀路には迷ふとばかり思ひしに越えける物を逢坂のせき

前大納言爲定

文保三年、百首の歌に

戀ひ死なばかひなからまし存へて逢ふを限りも命なり鳬

内大臣

題志らず

逢ふ夜こそ思ひ知りぬれ我ながら慕ひ來にける心長さを

大納言師賢

正中二年百首の歌奉りけるに

其儘にやがて命もたえぬべしげに身にかふる逢瀬なりせば

能譽法師

逢戀をよめる

ならはねば身にこそ夢と辿るとも是は現と言ふ人もがな

法印長舜

百首の歌の中に、同じ心を

今宵かくかはし初めつる手枕に今は涙のかゝらずもがな

延喜御製

題志らず

夢路より惑初めぬと侘びつるに導べ有りとは今ぞ知りぬる

爲冬朝臣

思ひ出づる雲間の月の面影は又何時までのわすれ形見ぞ

權中納言爲重

急別戀と云ふ事を詠める

轉てなど憂き身知らるゝ別路を急がぬ先に慕はざりけむ

左大臣

永徳元年六月十二日三十首の歌講ぜられし時、惜別戀

夜を籠めて急ぐ別の憂きなかに頼めぬ末を何ちぎるらむ

藤原爲尹朝臣

百首の歌奉りし時、別戀

我が心慰めとてや別路にかはらじとのみちぎり置くらむ

等持院贈左大臣

貞和二年百首の歌奉りけるに

鳥の音は鳴くとも未夜深きになど憂き人の急ぐなるらむ

源詮信

題志らず

せめてたゞ聞きも盡さば別路の八聲の鳥をさのみ恨みじ

後野宮前内大臣

よしさらば又とも言はじ別路のつらさに堪へむ命ならねば

太上天皇

永和四年八月十五夜三首の歌講ぜられしついでに、月前別戀

つらき名のたぐひまでやは喞つべき別れし袖の有明の月

權中納言資教

百首の歌奉りし時、別戀

憂きまゝにさのみかこたじ衣々の形見はのちも有明の月

源頼元

同じ心を

形見ぞと言はぬばかりの別れ路に殘るもつらき有明の月

前大納言爲氏

月前別戀の心を

忘るなよ又逢ふまでの契とも知らぬ形見のありあけの月

源基時朝臣

戀の歌の中に

今よりやつらき形見となりもせむ我が衣々の袖のつき影

正三位知家

建保二年内裏に百首の歌奉りけるに

曉の別れは何時もから衣濡れてぞかへるそでのうらなみ

前中納言基成

題志らず

死ぬばかり人は別れを思はでや又逢ふ事を契り置くらむ

崇賢門院

百首の歌奉りし時

我のみや干さで忍ばむ衣々の袖に殘さぬひとのなみだを

祝部成豐

道芝の露と消えなば衣々の別れやながきわかれならまし

後鳥羽院宮内卿

千五百番歌合に

明くるだに惜まぬ物を暮ればとは心の外の空だのめかな

兵部卿元良親王

かく定めなうあくがれ給ひけれどいと心ありてをかしくおはする宮と聞きて大夫の御息所の御腹の女八宮にあはせ給ひて、あしたに

程もなく歸るあしたのから衣心まどひにいかゞきつらむ

光明峯寺入道前攝政左大臣

百首の歌の中に、後朝戀

暮るゝ間を待つべき身とも頼まれず歸りし道の心惑ひに

讀人志らず

年頃つれなかりける女にからうじてあひそめける其の夜程なく明けぬれば詠める

つらかりし君が心は忘られて明けぬる空の恨めしきかな

二條院御製

後朝戀を詠ませ給ひける

ひとり寐も習はぬ身には非ねども妹が歸れる床の寂しさ

皇太后宮大夫俊成

爲忠朝臣の家に百首の歌詠ませ侍りける時、後朝隱戀

飽かなくに起きつるだにも有る物を行方も知らぬ道芝の露

本院侍從

元良親王の、くや/\と待つ夕暮といまはとて歸るあしたといづれ増れりと云ふ歌を數多の人の許に遣はして返事を見けるに

夕暮は頼む心になぐさめつ歸るあしたはけぬべきものを

源季廣

後朝戀の心を

逢ふまでを限と思ひし涙こそ歸る今朝さへ先だちにけれ

從二位家隆

歸るさの今朝の別をすぐしてぞ命ありとも身を頼むべき

侍從爲敦

百首の歌奉りし時

志ばし猶待たれぬ夢ぞ覺めやらぬ現とも無き今朝の別に

法印定爲

文保の百首の歌に

別れつる身には心の有らばこそ夢現ともひとにかたらめ
[_]
[8] SKT reads 二十首.