新後撰和歌集 (Shin gosen wakashu) | ||
19. 新後撰和歌集卷第十九
雜歌下
前關白太政大臣
題志らず
前大納言爲家
弘長元年百首の歌奉りける時、松
天台座主道玄
廣澤の池にまかりてよみ侍りける
前大僧正源惠
題志らず
讀人志らず
源兼氏朝臣
平政長
津守國助
藤原忠能
前大納言基良女
平行氏
前大僧正禪助
法眼行濟よませ侍りける熊野の十二首の歌の中に
藤原忠資朝臣
懷舊の心を
讀人志らず
前參議雅有
弘安元年百首の歌奉りし時
讀人志らず
題志らず
法眼慶融
源通有朝臣
後一條入道前關白左大臣
前右衞門督基顯
前大僧正禪助
御持僧に加はりて二間に侍りける事を思ひ出でゝよみ侍りける
讀人志らず
懷舊の心を
高階基政朝臣
惟宗盛長
出家すとてよめる
三條入道内大臣
世をそむきて後人の音づれて侍りける返事に
權中納言公雄
前大納言爲氏かしらおろし侍る由を聞きて遣しける
前大納言爲氏
返し
前大納言爲世
平貞時朝臣かしらおろし侍りけるに宣時朝臣同じく出家の由聞きて申し遣しける
平宣時朝臣
返し
讀人志らず
題志らず
藤原景綱
法眼源承
後光明峰寺前攝政左大臣
源親長朝臣身まかりにける時をはり亂れぬよし聞きて源邦長朝臣に遣しける
源邦長朝臣
返し
典侍親子朝臣
平親清の女身まかりて後いもうとの許に申し遣しける
藤原爲道朝臣
題志らず
經乘法師
道助法親王かくれ侍りにける頃僧正玄瑜のもとへ申し遣しける
道供法師
性助法親王かくれ侍りて後法眼行濟高野に侍りけるに遣しける
典侍光子
題志らず
荒木田氏忠
土御門入道内大臣
少將内侍身まかりて後佛事のついでに辨内侍人々に勸めてよませ侍りける歌の中に
性瑜上人
同行身まかりける跡にまかりて
衣笠内大臣
後世の事など申しける人に
法印聖勝
同じ法衆をむすびて跡をとふべきよし契り侍りけるにさきだつ人侍りけるを病にわづらひてさゝげ物調じて遣しけるつゝみ紙にかき付けゝる
前大納言爲氏
前關白太政大臣なげく事侍りける頃程へて申し遣しける
前關白太政大臣
返し
僧正慈順
題志らず
貞空上人
大宮院かくれさせ給ひて後高野山にをさめ奉られける時よみ侍りける
平行氏
題志らず
藤原秀茂
中務卿宗尊親王
素暹法師わづらふ事侍りけるがかぎりに聞え侍りければ遣しける
素暹法師
返し
天台座主道玄
普光園入道前關白かくれ侍りて後よみ侍りける
法印覺寛
題志らず
前中納言定家
後京極攝政かくれ侍りけるあくる日從二位家隆とぶらひて侍りければ
從二位家隆
返し
從三位氏久
後嵯峨院かくれさせ給ひける春、山里の花を見て
平親世
おなじ頃龜山殿より花にそへて光俊朝臣の許に遣しける
大藏卿行家
郁芳門院かくれさせ給ひて又の年の秋御前の萩をみて
讀人志らず
返し
後光明峰寺前攝政左大臣
秋の比圓明寺にて後一條入道前關白の事を思ひ出でゝよみ侍りける
前大僧正慈鎭
九條内大臣身まかりて後の秋さがの墓所にまかりてよみ侍りける
平時高
題志らず
前關白太政大臣
京極院の十三年に一品經かきて女房の中に遣すとて
法皇御製
後嵯峨院の御事ののち龜山殿にてよませ給ひける
後一條入道前關白左大臣
從一位倫子のおもひに侍りける頃よみ侍りける
津守國助
津守國平身まかりて後よめる
前大僧正良覺
權中納言公宗身まかりて後三月の盡に山階入道左大臣の許に遣しける
法印定爲
藤原爲道朝臣の第三年に結縁經供養し侍りけるついでに、寄菖蒲懷舊を
常磐井入道前太政大臣
東二條院の半物川浪もの申しける男身まかりにけるが教へ置きけるとてかつらの緒の琵琶をひきけるを聞きて
東二條院半物川浪
返し
前大納言實冬
前大僧正隆辨八月十五夜身まかりて侍りける一周忌に結縁經の歌そへて秋懷舊と云ふ事を
前權僧正教範
安嘉門院御忌にこもりて侍りける九月十三夜藤原道信朝臣月みるよし申して侍りければ
平時範
平時茂都にて身まかりにける後あづまの月を見てよみ侍りける
中臣祐親
題志らず
法眼行濟
山階入道左大臣
西園寺入道前太政大臣身まかりて第三年の秋常磐井入道前太政大臣の家にて三首の歌よみ侍りけるに、暮秋雨といふ事を
大藏卿隆博
八月十五夜後一條入道前關白の事思ひ出でゝよみ侍りける
安喜門院大貳
從三位爲繼身まかりて後日數過ぎて人のつぶらひ侍りければ
源兼孝朝臣
源時長朝臣身まかりて後第三年の春いもうとの許に申し遣しける
中原行實朝臣
後嵯峨院かくれさせ給ひける時素服給ひてよめる
前大納言爲氏
性助法親王身まかりにける頃法眼行濟が許に申し遣しける
法眼行濟
返し
前大納言成道
西行法師後世の事など申したりければ
西行法師
返し
藤原景綱
題志らず
辨内侍
少將の内侍身まかりにける時さまかへて後いく程なくて信實朝臣に後れてよみ侍りける
蓮生法師
なき人を夢に見て人々歌よみ侍りけるに
前太政大臣
京極院かくれさせ給ひての頃雁を聞きて
中務卿宗尊親王家三河
わづらひ侍りける時郭公を聞きて
待賢門院堀川
夏のころ西行法師がもとへ遣しける
大納言師頼
五月のころ大藏卿行宗父の忌日にて侍りけるに遣しける
入道前太政大臣
前大納言爲家身まかりて後日數過ぐるほどに前大納言爲氏の許に申し遣しける
如圓法師
題志らず
法印乘雅
興信法師
源兼氏朝臣
九條右大臣身まかりての頃おなじ心になげきける人の許に申し遣しける
法眼慶融
前大納言爲家に後れて後懷舊の歌よみ侍りけるに
これは寂蓮法師が歌とて僧正道譽が夢に見え侍りけるとなむ。
讀人志らず
題志らず
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