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新後撰和歌集卷第十七 雜歌上
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17. 新後撰和歌集卷第十七
雜歌上

前中納言定家

千五百番歌合に

いくとせのかざし折りけむ古の三輪の檜原のこけの通路

從二位家隆

幾代とも志られぬものは白雲のうへよりおつる布引の瀧

寂蓮法師

野中の清水を見て

汲む人は又いにしへになりぬとも野中の清水思ひ忘るな

土御門入道内大臣

弘安元年百首の歌奉りしとき

ありし世をこふる泪の露ぞ置く今も嵯峨野の道のさゝ原

如願法師

住の江にてよめる

住吉の松ふく風もかはらねば岸うつ浪やむかしなるらむ

權中納言公雄

題志らず

いかにして思ふ方には通ふらむ風に志たがふあまの釣舟

前内大臣

くれぬとて我がすむ方に歸るなりあしやの沖の蜑の釣舟

今上御製

海邊夕と云ふ事を

蜑のすむ里の知べやこれならむくるれば見ゆる漁火の影

讀人志らず

題志らず

風吹けば波こすいその岩ね松いく志ほ染むる緑なるらむ

後嵯峨院御製

白川殿の七百首の歌に、子日松

子日とてけふ引初むる小松原木高きまでをみる由もがな

前大僧正良覺

春の歌の中に

影茂き園生の竹のそのまゝにこぞ降りつみし雪ぞ殘れる

月花門院

雪の山つくられて侍りける雪を睦月の二十日頃に萬里小路右大臣申して侍りけるに

消え殘る雪につけてや我宿を花よりさきに人のとふらむ

院大納言典侍

梅の花につけて藤原爲道朝臣の許に遣しける

色香をも志る人みよと咲く梅の花の心にまかせてぞ祈る

藤原爲道朝臣

返し

色香をも志る人ならぬ我爲に折るかひなしと花や思はむ

平時高

題志らず

心ある人はとひこでわが袖に梅が香をしき春のゆふかぜ

平義政

春の歌の中に

明けぬとてたが名は立たじ歸る鴈夜深き空を何急ぐらむ

前大僧正禪助

迷はじなこしざの空は霞むとも歸りなれたる春の雁がね

津守國助

志賀の蜑の釣する袖はみえわかで霞む浪路に歸る雁がね

前大僧正源惠

行くさきも跡も霞のなか空に志ばしは見えて歸る雁がね

入道前太政大臣

院に三十首の歌奉りし時、庭春雨

世を捨つる身のかくれがの故郷におとさへ忍ぶ庭の春雨

正三位經朝

題志らず

我ばかり待つとはいはじ山櫻花もうき身を厭ひもぞする

平時直

雲とだにさだかにはみずやま櫻とほき梢や猶かすむらむ

前參議能清

中務卿宗尊親王の家の歌合に、閑居花

ありとだに人に知られぬ宿なれば花咲きぬ共誰か問來む

院御製

三十首の歌めされしついでに、見花

哀れ今は身をいたづらの詠めして我世ふり行く花の下陰

二品法親王覺助

雨のふりける朝人のもとに花を遣すとて

思ひやれ老いて慰む花だにも萎るゝけさの雨のつらさを

藤原爲綱朝臣

花の歌の中に

咲く花の盛を見ても山陰にふりはてぬべき身を歎くかな

藤原宗泰

ながめつゝ我身もふりぬ山櫻よそぢあまりの春を重ねて

源師光

正治の百首の歌に

年毎に花は咲けども人志れぬ我身ひとつに春なかりけり

權律師玄覺

題志らず

いたづらに散りなば惜しき花故に我爲ならず人を待つ哉

平親世

山里にすみ侍りける頃花ちりて後にまうでくべきよし申して侍りける人の返事に

散りはてゝ後は何せむ山里の花みよとてぞ人は待たれし

道供法師

花の盛に山寺にまかりてよめる

つらしとて背く憂世の外までも花も我身を猶さそひける

源光行

題志らず

命をもをしむ心やなからまし花にこの世を思ひおかずば

津守國平

櫻花ちらずばやがて三吉野の山やいとはぬ栖かならまし

前大僧正公澄

いく春も我立つ杣に庵しめて山のかひある花をこそ見め

前大僧正源惠

院みこの宮と申しける時御持僧に加はりて程なく位につかせ給ひて後天台座主になりて内裏にて春の頃七佛藥師の法をおこなひ侍りける時思ひつゞけ侍りける

春の宮に仕へしまゝの年をへて今は雲居の月をみるかな

良助法親王

正安三年の春櫻の枝につけて内裏へ奏し侍りける

九重に色を重ねて匂ふらし花もときしる御代にあひつゝ

今上御製

御返し

今ぞみるきみが心もをりをえて春のときしる花の一えだ

前大僧正公豪

弘安三年三月日吉の社にはじめて御幸侍りける時天台座主にてよみ侍りける

年ごとの御幸を契る春なれば色をそへてや花も咲くらむ

源兼朝

春の歌の中に

哀とて花見しことを數ふればこゝらの年の春ぞへにける

漸空上人

花の頃まうできて侍りける人のもとに遣しける

今よりの心通はゞ思出でよかならず花のをりならずとも

西園寺入道前太政大臣

道助法親王の家に八重櫻あるよし聞きて申し遣しける

勅ならで又ほり移す宿もがなためしにゆるせ八重の櫻木

入道二品親王道助

返し

櫻花をりしる人の宿に植ゑて幾かへりとも春ぞかぎらぬ

源淑氏

題志らず

咲けば且ちるも絶間の見えぬ哉花より外の色しなければ

前左兵衞督範藤

咲く花の心づからの色をだに見はてぬほどに春風ぞ吹く

澄覺法親王

此春も又ちる花をさきだてゝ惜しからぬ身の猶殘りつゝ

辨内侍

長らへていけらば後の春とだに契らぬ先に花ぞ散りぬる

祝部國長

人とはぬ宿の櫻のいかにして風につらくはしられそめ劔

僧正範兼

咲なばと花に頼めし人はこでとふにつらさの春風ぞ吹く

平時村朝臣

雨はるゝ雲のかへしのやま風に雫ながらや花の散るらむ

平貞時朝臣

水上や花の木かげをながれけむ櫻をさそふ春のかはなみ

中臣祐春

散り易き花の心をしればこそ嵐もあだにさそひそめけめ

法印雲雅

散りぬればふくも梢の寂しさに風もや花を思ひいづらむ

源時清

中務卿宗尊親王の家の歌合に

涙にぞ又宿しつる春の月うきはかはらぬもとの身にして

前關白太政大臣

春の歌の中に

廻り逢ふ春は五十ぢの老が世にことわり過ぎて霞む月哉

法印能海

春の頃月蝕を祈りて思ひつゞけ侍りける

霞むだに心づくしの春の月曇れといのる夜半もありけり

源兼氏朝臣

山階入道左大臣の家の十首の歌に、田家水

苗代の春のかど田にせく水の道あるかたに身をや任せむ

平宣時朝臣

題志らず

うき事もいふにぞつらき山吹は心ありける花のいろかな

前關白太政大臣

忘れめや春日の野べに黒木もてつくれる宿の軒の藤なみ

前大僧正行尊

春日山木高きみねの藤の花すゑ葉も春に逢はざらめやは

中原師尚朝臣

諸共に花見むと契りて後久しく音づれざりける人のもとに三月つごもりに遣しける

花見むと契りし人を待つ程にあやなく春の暮れにける哉

藤原景房朝臣

三月に閏月ありける年よめる

散り殘るのちの彌生の八重櫻かさなる春の花とこそ見れ

天台座主道玄

同じきつごもりの日よみ侍りける

なれて猶あかぬ名殘の悲しきはかさなる春の別なりけり

賀茂經久

述懷の心を

神やまにその名をかけよ二葉ぐさ三の位のあとを尋ねて

惟宗忠景

祖父忠久非違使にて祭主たりける事を思ひて賀茂の社によみて奉りける

かけて祈る志るしあらせよ葵草かさなる跡は神も忘れじ

大江貞重

題志らず

待つ事を習ひになして郭公なくべき頃もつれなかりけり

讀人志らず

侘び人の心にならへ郭公うきにぞやすくねはなかれける

權大僧都覺守

あり明の月にも鳴かず郭公つれなき程のかぎり知らせて

平時遠

みじか夜もなほ寐覺して郭公はつ音も老の後にこそ聞け

賀茂遠久

年をへて我神山のほとゝぎす同じ初音をいまも聞くかな

西行法師

無言の行し侍りける頃郭公を聞きて

時鳥人にかたらぬ折にしも初音きくこそかひなかりけれ

平時藤

羇中郭公

鳴く方にまづあこがれて郭公こゆる山路の末もいそがず

光俊朝臣

夏の歌の中に

いつまでか哀と聞かむ時鳥思へばたれもねこそなかるれ

雅成親王

色ふかき泪をかりてほとゝぎすわが衣手の杜に鳴くなり

中務卿宗尊親王

菖蒲を

いつまでかあやめ計の長きねを泪も志らぬ袖にかけゝむ

中原師宗

前中納言俊定のもとへ代々つかはしける橘を遣すとて

今もまた五月まちけるたちばなに昔忘れぬ程は志らなむ

前中納言俊定

返し

家の風かはらずともに傳へ來てむかしの跡に匂ふたち花

觀意法師

題志らず

水まさる淀の川瀬をさす棹の末もおよばぬ五月雨のころ

大江茂重

かきくらし漂ふ雲の行く方も見えずなりぬる五月雨の頃

源季茂

風わたる葦の末葉に置く露のたまらず見えてとぶ螢かな

平親清女妹

螢をつゝみて姉のもとに遣すとて

戀しさの身より餘れる思をば夜半の螢によそへてもみよ

平親清女

返し

我は又ひるも思のきえばこそ夜半の螢に身をもたゝへめ

前參議忠定

蝉をよみ侍りける

思ふ事空しきからに空蝉の木隱れはつる身こそつらけれ

津守國助

夕顏を

いとゞ又ひかりやそはむ白露に月まち出づる夕がほの花

藤原朝宗

題志らず

風の音はまだ吹變へぬ草のはの露にぞ秋の色は見えける

空人法師

なれぬればつらき心もあるやとて七夕つめの稀に逢ふ覽

式乾門院御匣

忘られぬむかしの秋を思ひねの夢をばのこせ庭の松かぜ

雅成親王

寄風述懷といへる心を

露の身のおき所こそなかりけれ野にも山にも秋風ぞ吹く

前權僧正通海

秋の歌の中に

むすび置く露も雫もあだし野の蓬がもとをはらふ秋かぜ

前大納言爲家

弘長元年百首の歌奉りける時、露

よな/\の泪しなくばこけ衣秋おく露のほどは見てまし

前僧正公朝

題志らず

わが袖のたぐひとみるも悲しきはおいて露けき森の下草

前左衛門督基顯

今は世にたれかは我を招くべきなさけありける花簿かな

惟宗忠景

人ぞうきもとの心は變れどもふる枝の萩は今も咲くなり

權中納言公雄

なにゝわが老の泪のかゝるらむ古枝の萩も露ぞこぼるゝ

前大僧正實承

年をへてもろくなり行く泪かないつかぎりの秋の夕暮

藤原秀長

關の戸をさゝでも道やへだつらむ逢坂山のあきの夕ぎり

入道二品親王性助

弘安元年百首の歌奉りし時

雨はるゝ高嶺は空にあらはれて山本のぼる富士の河ぎり

法印定意

秋の歌の中に

すみなれし月はむかしの秋風に古郷さむき庭のあさぢふ

後九條内大臣

我ながらいつを泪の絶間とて身の程志らず月を見るらむ

入道前關白左大臣

いかなれば眺むる袖の志ぐるらむ雲も懸らぬ山の端の月

遊義門院

なさけとや泪のかゝる袖にしも長き夜すがら月宿るらむ

光俊朝臣

思ふことげになぐさむる月ならば苔の袂は秋やほさまし

源季廣

身のうさの忘るゝ月の影ならば秋の心はなぐさみなまし

津守國平

秋をへてなれ行く月のます鏡つもれば老の影を見るかな

法印良守

長らへて今幾とせか月を見む今年も秋はなかば過ぐなり

常磐井入道前太政大臣

定かなる夢か現かなゝそぢの秋を待ちえて見つる月かげ

辨内侍

月の夜むかしを思ひ出でゝうちにさぶらひける人のもとに遣しける

忘れずよ思ひや出づる雲居にてともに見しよの秋の月影

後嵯峨院御製

文永五年九月十三夜、白河殿の五首の歌合に、河水澄月

我のみや影もかはらむ飛鳥川ふちせも同じ月はすめども

讀人志らず

題志らず

大方の名こそ吹飯の浦ならめかたぶかですめ秋の夜の月

入道二品親王性助

入る迄も月見むとてぞ住みそめし名におふ秋の西の山里

靜仁法親王

つれなくもめぐり逢ひぬる命かなむそぢの秋の有明の月

順徳院御製

秋の日の山のは遠くなるまゝに麓の松のかげぞすくなき

典侍光子

都人おもひおこせよ苔ふかき松のとぼその秋のあはれを

信實朝臣

聞かざりし嵐のかぜも身にそひぬ今はすみかの秋の山里

平頼泰

里擣衣を

秋ふかくなりゆくまゝに衣うつ音羽の里や夜寒なるらむ

入道二品親王性助

秋の歌の中に

我庵は嵐のまゝに住みなして露も時雨ももらぬまぞなき

後嵯峨院御製

文永五年九月十三夜、白河殿の五首の歌合に、暮山紅葉

かねてより袖も志ぐれてすみ染の夕色ます山のもみぢば

權中納言公雄

題志らず

夜をのこす老の涙のわが袖に猶ほしがたく降る時雨かな

前權僧正教範

年をへてふりぬる身とは志る物を何故袖の又志ぐるらむ

大江宗秀

よそに見し高嶺の雲のいつのまに此里かけて時雨きぬ覽

藤原爲道朝臣

神無月の頃歌合のまけわざせさせ給ひけるとき法皇御幸し侍りけるに紅葉の舟につけらるべき歌とて仕うまつりける

紅葉ばのあけのそぼ舟こぎよせよこゝを泊と君も見る迄

寂惠法師

冬の歌の中に

吹立つる木の葉の下もこのはにて風だにわけぬ庭の通路

藤原親範

冬川の氷のひまを行く水のまたよどむこそ木の葉なりけれ

前大僧正忠源

薄氷あやふき身とは思へどもふみ見て世をも渡りける哉

前大納言爲世

百首の歌奉りし時、千鳥

和歌の浦や色をかさねて濱千鳥七たび同じ跡をつけぬる

院御製

三十首の歌めされしついでに、浦千鳥

我世には集めぬわかの浦千鳥むなしき名をや跡に殘さむ

入道前太政大臣

浦千鳥なにはの事の立居にも老の波にはねぞなかれける

前僧正公朝

中務卿宗尊親王の家の歌合に、千鳥

哀れにも老の寐覺の友千鳥わがよ更けぬる月に鳴くなり

從三位頼政

いまだ殿上ゆるされざりける時雪の降り侍りける日清凉殿にさしおかせ侍りける

いかなれば雲の上にはちり乍ら庭にのみふる雪を見る覽

讀人志らず

返し

心ざし深くも庭につもりなばなどか雲居の雪もみざらむ

權中納言公雄

前中納言定家はやう住み侍りける所に前大納言爲家わづらふこと侍りける時雪のあしたに申し遣しける

消えもせで年をかさねよ今も世にふりて殘れる宿の白雪

前大納言爲家

返し

消えのこる跡とて人に問はるゝも猶たのみなき庭の白雪

按察使實泰

野外雪を

過ぎ來つる跡に任せむ春日野のおどろの道は雪深くとも

如願法師

山家雪といふ事をよめる

春はまづとはれし物を山深み雪ふりにける身社つらけれ

光俊朝臣

題志らず

今更に何とか雪のうづむらむ我身世にふる道は絶えにき

法眼慶融

降り積る雪につけても我身世に埋もれてのみつもる年哉

藤原信顯朝臣

冬さむみあらしになびく炭がまの烟にまじる嶺のうき雲

小督

中務卿宗尊親王の家の百首の歌に

あすしらぬ世のはかなさを思ふにも惜かるまじき年の暮かは

土御門入道内大臣

弘安三年百首の歌奉りし時

何と又暮行く年を急ぐらむ春に逢ふべき身ともしらぬに

藤原爲相朝臣

百首の歌奉りし時、歳暮

我身世に憂もはてある年ならば近づく春も急がれやせむ

讀人志らず

題志らず

程もなくいそぢの年もこゆるぎの急ぎなれたる年の暮哉