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讀人志らず

中納言實成宰相にて五節奉りけるに妹の弘徽殿の女御の御許に侍りける人かしづきに出でたりけるを中宮の御方の人々ほのかに聞きて、みならしけむ百敷をかしづきにてみるらむ程もあはれと思ふらむといひて箱の蓋に志ろがねのあふぎに蓬莱の山つくりなどしてさしぐしに日影のかづらを結びつけてたきものをたてぶみにこめてかの女御の御方に侍りける人のもとよりとおぼしくて左京のきみの許にといはせて果の日さしおかせける

多かりし豐の宮人さし分けて志るき日影を哀れとぞみし