University of Virginia Library

大納言道綱朝臣

母におくれ侍りて又の年のわざなど過ぎてつれづれに侍りける夕暮に塵積りたる琴などおしのごひてひくとはなけれど今は程など過ぎにければをり/\ならしけるををばなりける人のあひすみける方より、ことの音きけば物ぞかなしきなどいひおこせて侍りける返事によめる

亡人は音づれもせで琴の緒をたちし月日ぞ歸りきにける