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續拾遺和歌集卷第十 賀歌
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10. 續拾遺和歌集卷第十
賀歌

太上天皇

建治二年八月龜山殿にて、はじめて松色浮池といへる題を講ぜられ侍りしついでに

よろづ代と龜の尾山の松かげを移してすめる宿の池みづ

攝政前太政大臣

池水に松の千とせをうつしても君に二たび逢ふが嬉しさ

冷泉太政大臣

寳治二年鳥羽殿にて、池上松といへる心を

行末をかぎらぬ松の世々をへてかげ長閑なる庭の池みづ

前大納言爲家

池水のたえず澄べき御代なれば松の千年もとはに逢見む

徳大寺入道前太政大臣

同年正月松色春久と云ふ事を講ぜられける時序を奉りて

千枝にさす松の緑は君が代に逢ふべき春の數にぞ有ける

前大納言顯朝

正元元年

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[7]月
西園寺の一切經供養に行幸し侍りけるに春宮中宮おなじく行啓ありて次の日人々翫花と云ふ心をつかうまつりけるに

例なき數多御幸の今日に逢ひて花は八千世の色に出づ覽

山階入道左大臣

弘長三年二月龜山殿に行幸ありて花契遐年と云ふ事を講ぜられけるに序を奉りて

今年より御幸にちぎる山ざくら思ふも久しよろづ代の春

冷泉太政大臣

かめのをの山のかひある山櫻萬代ふべきためしとぞみる

權大納言經任

名にたてゝ萬代ふべき龜のをの山の櫻はけふ咲きにけり

萬里小路右大臣于時右大將

建長六年三首の歌合に、櫻を

待たれこしみかさの山の櫻花久しき春のかざしにぞさす

富家入道前關白太政大臣

嘉承二年鳥羽殿にて、池上花といへる事を

千世をへて澄べき池の水なれば映れる花の陰ものどけし

常磐井入道前太政大臣

寳治百首の歌奉りける時、松上藤

咲きつゞく藤榮えむと春日山松にぞ君をいはひかけつる

兵部卿隆親

文永八年七月院忍びて鷲尾に御幸し侍りける時女房の中より、君すめば心ありてや末遠く千世まつむしの聲聞ゆらむと侍りける返事に

昔より君がためなる宿なれば我も千とせをまつ虫のこゑ

前大納言爲氏

弘長三年九月十三夜内裏の十首の歌奉りし時、月前祝

君が住むおなじ雲居の月なれば空にかはらぬ萬代のかげ

山階入道左大臣

家に十首の歌よみ侍りけるに、秋祝

雲の上に影をならべて久方の月ぞ千とせの秋もすむべき

權中納言俊忠

寛治八年鳥羽殿にて翫池上月といへる心を

のどかなる光をそへて池水に千世もすむべき秋の夜の月

正三位經朝

寳治元年十首の歌合に、海邊月

わかの浦や昔にかへる波のうへに光あまねき秋の夜の月

從二位行家

同二年鳥羽殿の五首の歌に、月前祝

君が世に光をそへよ末とほき千とせの秋の山の端のつき

左大臣

月與秋久と云ふ題を講ぜられ侍りし時

いく秋とかぎらぬ月の光こそ君が御影のためしなりけれ

前中納言資宣

文永五年八月十五夜内裏の歌合に、田家見月

民やすき田面のいほの秋風にいなばの雲は月もさはらず

宇治入道前關白太政大臣

從一位倫子の七十賀によみ侍りける

君が爲千世を重ねてきくの花ゆく末遠くけふこそはみれ

式子内親王

百首の歌の中に

結ぶべき末もかぎらじ君が世に露のつもれる菊の下みづ

太宰權帥爲經

菊花秋久と云ふ事を

いか計老いせぬ秋をかさぬらむ千世のかざしの白菊の花

前大僧正慈鎭

正治百首の歌に、祝

千とせまで積れる年の志るしとて雪をかさぬる鶴の毛衣

法成寺入道前攝政太政大臣

題志らず

葦田鶴齡しあらば君が世の千年の數はかぞへとりてむ

常磐井入道前太政大臣

寄海祝といへる心を

海原や風をさまれる波のうへに思ふもとほし御代の行末

後花山院入道前太政大臣

文永三年三月、續古今集の竟宴の歌

數々にみがく玉藻のあらはれて御代靜かなるわかの浦浪

前中納言定家

建仁三年十一月和歌所にて釋阿の九十賀たまはせける時よみ侍りける

君にけふ十年の數をゆづり置きて九かへりの萬代やへむ

前中納言範光

限なきはこやの山のかげなれば千年の坂も猶こえぬべし

大藏卿有家

老らくのさかゆく道を照すなりはこやの山の峯の月かげ

冷泉太政大臣于時内大臣左大將

建長五年七月三首の歌に

かげ靡く光は身にもあまるらむのぼる三笠の山の端の月

權大納言長家

祝の心を

大原や小鹽の松ぞ君が代のいつも變らぬためしなるべき

參議雅經于時左中將

建暦二年とよのみそぎ二たび行はれける次の日前中納言定家のもとに遣しける

君待ちて二たびすめる河水に千世そふ豐の御祓をぞ見し

兵部卿隆親

今上の御元服の時大納言に歸りなりて上壽つとめ侍りて思ひつゞけ侍りける

年たけて思ひもよらず君が代に又仕ふべき道のありとは

前中納言資實

建久九年大甞會の主基方の御屏風に備中國神島有神祠所を

神島の波の白ゆふかけまくも畏き御代のためしとぞみる

前參議爲長

仁治三年大甞會の悠紀方の風俗歌、朝日山

あきらけき御代の始の朝日山あまてるかみの光さしそふ

前中納言家光

嘉禎元年大甞會の悠紀方巳日の樂破近江國眞木村

常磐なる影は變らじ眞木の村あまの露霜いくよふるとも

民部卿經光

文應元年大甞會の悠紀方の御屏風の歌、玉井

凉しさに千とせをかねて結ぶかな玉井の水の松の下かげ
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[7] SKT reads 三月.