後拾遺和歌集 (Goshui wakashu [Introduction]) | ||
4. 後拾遺和歌集第四
秋上
讀人志らず
秋たつ日よめる
惠慶法師
藤原爲頼朝臣
扇の歌よみ侍りけるに
小辨
七月六日によめる
大江佐經
七月七日庚申にあたりて侍りけるによめる
小左近
七月七日よめる
堀河右大臣
七月七日宇治前太政大臣の賀陽院の家にて人々さけなどたうべて遊びけるに憶牛女言志こゝろをよみ侍りける
上總乳母
七月七日かぢの葉にかきつけ侍りける
能因法師
長能が家にて七夕をよめる
橘元任
七月七日よめる
右大將通房
新左衛門
七月七日男の今日のことはかけてもいはじなど忌み侍りけるに忘られにければゆきあひの空を見てよみ侍りける
小辨
七月七日風などいたく吹きて齋院にたなばたまつりなどとまりて八日まであるべきにあらずとて祭り侍りけるによめる
藤原家經朝臣
居易、初到香山心をよみ侍りける
左近中將公實
客依月來といふ心をうへのをのこどもよみ侍りけるによめる
大貳高遠
花山院東宮と申しける時閑院におはしまして秋の月をもてあそび給ひけるによみ侍りける
平兼盛
三條太政大臣左右をかた分きて前栽うゑ侍りて歌に心得たるもの十六人をえらびて歌よみ侍りけるに水の上の秋の月といふ心をよみ侍りける
源爲善朝臣
土御門右大臣の家に歌合し侍りけるに秋月をよめる
惠慶法師
河原院にてよみ侍りける
永源法師
題志らず
源道濟
くら人になりての秋南殿の月をもてあそびてよみ侍りける
藤原長能
寛和元年八月十日内裏の歌合によみ侍りける
前大納言公任
八月ばかり月雲がくれけるをよめる
藤原範永朝臣
廣澤の月を見てよめる
素意法師
山里に侍りけるに人々まうできてかへり侍りけるによめる
藤原國行
題志らず
惟宗爲經
八月十五夜によめる
堀河右大臣
藤原隆成
赤染衞門
讀人志らず
題志らず
清原元輔
或人云、賀陽院にて八月十五夜月おも志ろく侍りけるに宇治前太政大臣歌よめと侍りければ光源法師よみ侍りけるといへり。
大江公資朝臣
鈴虫の聲を聞きてよめる
前大納言公任
四條中宮
かへし
道命法師
長恨歌の繪に玄宗もとの所にかへりて虫どもなき草もかれわたりて帝歎き給へるかたある所をよめる
平兼盛
題志らず
大江匡衡朝臣
曾禰好忠
藤原長能
寛和元年八月十日内裏の歌合によめる
赤染衞門
久しくわづらひけるころ雁のなきけるを聞きてよめる
伊勢大輔
後冷泉院の御時后の宮の歌合によめる
御製
八月ばかりに殿上のをのこどもをめして歌よませさせ給ひけるに旅中聞雁といふ心を
良暹法師
八月駒むかへをよめる
源縁法師
惠慶法師
屏風の繪に駒迎志たる所をよみ侍りける
源頼家朝臣
禪林寺に人々まかりて山家秋晩といふ心を
よみ侍りけるに凉
公基の朝臣丹後守にて侍りける時國にて歌合し侍りけるによめる
御製
萩盛待鹿といふ心を
大中臣能宣朝臣
山里に鹿を聞きてよめる
源爲善朝臣
土御門右大臣の家の歌合によみ侍りける
安法法師
題志らず
能因法師
叡覺法師
夜宿野亭といふ心をよめる
藤原長能
題志らず
大貳三位
祐子内親王の家の歌合に詠侍ける
藤原家經朝臣
江侍從
和泉式部
題志らず
天台座主源心
伊勢大輔
物思ふ事有ける頃萩を見て詠める
能因法師
みなとゝいふ所をすぐとて詠める
新左衛門
萩のねたるに露の置きたるを人々よみ侍りけるによめる
中納言女王
おなじ心をよみ侍りける
和泉式部
八月つごもりに萩の枝につけて人の許に遣はしける
筑前乳母
はらからなる人の家に住み侍りける頃萩のをかしう咲きて侍りけるを家あるじはほかに侍りておとせざりければいひつかはしける
橘則長
家の萩を人のこひ侍りければよめる
源時綱
題志らず
藤原通宗朝臣
藤原範永朝臣
草むらの露をよみ侍りける
素意法師
世をそむきて後いはれ野といふ所をすぎ侍りてよめる
藤原長能
題志らず
橘爲義朝臣
寛和元年八月七日内裏の歌合によみ侍りける
良暹法師
題志らず
源親範
土御門右大臣の家の歌合によめる
大中臣能宣朝臣
秋前栽のなかにおりゐて酒たうべて世の中のつねなき事などいひてよめる
堀河右大臣
人の家の水のほとりに女郎花の侍りけるをよみ侍りける
橘則長
うへのをのこども前栽ほりに野べにまかりいでたりけるに遣はしける
前律師慶暹
題志らず
清原元輔
天暦の御時の御屏風に鷹狩する野にたび人のやどれるところをよめる
御製
毎家有秋といふ心を
源道濟
題志らず
和泉式部
朝顏をよめる
源道濟
題志らず
齋宮女御
村上の御時八月ばかりうへ久しう渡らせたまはで志のびて渡らせ給ひけるを志らずがほにて琴ひき侍りける
讀人志らず
土御門右大臣の家に歌合し侍りけるに秋風をよめる
三條小右近
資良の朝臣音し侍らざりければ遣はしける
僧都實誓
こむとたのめて侍りける友だちのまてどこざりければ秋風のすゞしかりける夜ひとりうちゐて侍りける
藤原長能
花山院歌合せさせ給はむとしけるに留まり侍りにけれど歌をば奉りけるに秋風を詠る
大納言經信母
山里の霧をよめる
藤原經衡
土御門右大臣の家の歌合によめる
源師賢朝臣
野の花をもてあそぶといふ心をよみ侍りける
清原元輔
天暦の御時御屏風に八月十五夜前栽うゑたる所をよめる
大中臣能宣朝臣
かつらにまかりて水邊秋花をよめる
關白前左大臣
庭移秋花といふ心を
良暹法師
思野花といふ心をよめる
源頼家朝臣
橘義清が家に歌合し侍りけるに庭に秋の花をつくすといふこゝろをよめる
源頼實
良暹法師
題志らず
和泉式部
山里にあからさまにまかりて侍りけるに物おもふころにて侍りければ
後拾遺和歌集 (Goshui wakashu [Introduction]) | ||