後拾遺和歌集 (Goshui wakashu [Introduction]) | ||
3. 後拾遺和歌集第三
夏
和泉式部
四月ついたちの日よめる
藤原明衡朝臣
四月一日郭公をまつ心をよめる
能因法師
津國の古曾部といふ所にて詠める
源重之
冷泉院の東宮と申しける時百首の歌奉りける中に
曾禰好忠
題志らず
大中臣輔弘
山里の水鷄をよみ侍りける
藤原通宗朝臣
山里の卯花をよみ侍りける
讀人志らず
民部卿泰憲近江守に侍りける時三井寺にて歌合し侍りけるに卯花をよめる
題志らず
大中臣能宣朝臣
ある所に歌合し侍りけるに卯花をよみ侍りける
相摸
正子内親王の繪合し侍りけるにかねのさうじにかき侍りける
伊勢大輔
源道濟
卯花をよみ侍りける
元慶法師
つくしの大山寺といふ所にて歌合し侍りけるによめる
慶範法師
題志らず
堀河右大臣
四月つごりの日右近の馬場に郭公きかむとてまかり侍りけるに夜ふくるまでなき侍らざりければ
藤原尚忠
道命法師山寺に侍りけるにつかはしける
道命法師
かへし
皇后宮美作
?子内親王加茂のいつきと聞えける時女房にて侍りけるを年へて後、三條院の御時齋院に侍りける人のもとに昔を思ひ出でゝ祭のかへさの日かんだちに遣はしける
備前典侍
祭の使ひしてかんだちに侍りけるに人々多くとぶらひにおとなひ侍りけるを大藏卿長房みえ侍らざりければ遣はしける
大中臣能宣朝臣
四月ばかりに有馬の湯より歸り侍りて郭公をなむきゝつると人のいひおこせて侍りければ
増基法師
いにしへをこふる事侍りける頃田舎にて郭公をきゝてよめる
橘資成
題志らず
伊勢大輔
永承五年六月五日祐子内親王の家の歌合によめる
能因法師
藤原兼房朝臣
小辨
宇治前太政大臣
祐子内親王の家に歌合などはてゝ後人々おなじ題をよみ侍りける
赤染衞門
宇治前太政大臣三十講の後歌合し侍りけるに杜鵑をよめる
大江公資朝臣
相摸守にてのぼり侍りけるにおいその杜のもとにて郭公をきゝてよめる
法橋忠命
郭公を聞きてよめる
大江嘉言
長保五年五月十五日入道前太政大臣の家の歌合に遙聞郭公といふ心をよめる
道命法師
五月ばかり赤染がもとにつかはしける
律師長濟
おほやけの御かしこまりにて山寺に侍りけるに郭公をきゝてよめる
能因法師
郭公をよめる
大貳三位
小辨
曾禰好忠
早苗をよめる
藤原隆資
永承六年五月殿上の根合に早苗をよめる
相摸
宇治前太政大臣の家に三十講の後歌合し侍りけるに五月雨をよめる
藤原範永朝臣
宮内卿經長が桂山の庄にて五月雨をよみ侍りける
橘俊綱朝臣
叡覺法師
題志らず
惠慶法師
五月五日はじめたるところにまかりてよみ侍りける
良暹法師
永承六年五月五日殿上の根合によめる
大中臣輔弘
右大臣中將に侍りける時歌合し侍りけるによめる
伊勢大輔
年頃すみ侍りけるところはなれてほかにわたりて又のとしの五月五日によめる
相摸
花橘をよめる
大貳高遠
源重之
螢をよみ侍りける
藤原良經朝臣
宇治前太政大臣卅講の後歌合し侍りけるに螢をよめる
能因法師
題志らず
源重之
曾禰好忠
源頼實
氷室をよめる
土御門右大臣
夏の夜の月といふ心を詠侍りける
大貳資通
民部卿長屋
宇治前太政大臣の家に三十講の後歌合し侍りけるによみ侍りける
中納言定頼
能因法師
道濟が家にて、雨の夜床夏をおもふといふ心をよめる
曾禰好忠
題志らず
平兼盛
堀河右大臣
夏の夜凉しき心をよみ侍りける
内大臣
くれの夏有明の月をよめる
源頼綱朝臣
俊綱の朝臣のもとにて晩凉如秋といふ心をよみ侍りける
大中臣能宣朝臣
屏風の繪に夏の末に小倉の山のかたかきたるところをよめる
源師賢朝臣
泉の聲夜に入りて凉しといふ心をよみ侍りける
伊勢大輔
六月の祓へをよめる
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