後撰和歌集 (Gosen wakashu [Book 1]) | ||
18. 後撰和歌集卷第十八
雜歌四
讀人志らず
蛙を聞きて
人々あまた志りて侍りける女のもとに友達のもとより此頃は思ひ定めたるなめり。頼もしき事なりとたはぶれおこせて侍りければ
男のはじめいかに思へる樣にか有りけむ、女のけしきも心解けぬを見てあやしく思はぬ樣なる事といひ侍りければ
源善朝臣
中將にて内にさぶらひける時にあひ志りける女くら人のざうしにつぼやなぐひおいかけを宿し置きて侍りけるをにはかに事ありて遠き所にまかりけり。この女の許より此おいかけをおこせて哀れなる事などいひて侍りける返事に
讀人志らず
たよりにつきて人の國のかたはらに侍りて京に久しうまかりのぼらざりける時に友だちに遣しける
遠き國に侍りける人を京に上りたりと聞きてあひまつにまうできながらとはざりければ
伊勢
題志らず
北邊左大臣
伊勢
をとこの人にもあまた問へわれやあだなる心あるといへりければ
女の母
人のむこの今まうでこむといひてまかりにけるが文おこする人ありと聞きて久しうまうでこざりければあとうがたりの心をとりてかくなむ申しけるといひつかはしける
むこ
かへし
讀人志らず
常にまうでくとてうるさがりて隱れければ遣はしける
ものにこもりたるに志りたる人のつぼねならべて正月おこなひていづる曉にいときたなげなる志たうづを落したりけるを取りて遣すとて
題志らず
友達に侍りける女の年久しく頼みて侍りけるをとこにとはれず侍りければもろともに歎きて
伊勢
つねになき名立ち侍りければ
小町がうまご
あだ名立ちていひ騒がれける頃ある男ほのかに聞きて哀いかにぞととひ侍りければ
讀人志らず
隣なりける琴をかりて返す序でに
題志らず
伊勢
物思ひける頃
貫之
ある所にてすのまへに彼これ物語し侍りけるを聞きてうちより女の聲にて怪しく物のあはれ志りがほなる翁かなといふをきゝて
讀人志らず
女友だちの常にいひかはしけるを久しく音づれざりければ十月計りに、あだ人の思ふといひし言の葉はといふ古ことをいひ遣はしたりければ竹の葉にかきつけてつかはしける
贈太政大臣
題志らず
伊勢
かへし
題志らず
讀人志らず
伊勢
亭子院にさぶらひけるに御ときのおろしたまはせたりければ
兼輔朝臣
粟田の家にて人に遣はしける
藤原忠國
左大臣の家にてかれこれ題をさぐりて歌よみけるに露といふ文字をえ侍りて
伊勢
人のもとに遣はしける
讀人志らず
こと人をあひ語らふと聞きてつかはしける
ある法師の源等朝臣の家にまかりてずゞのすがりをおとしおけるを旦におくるとて
かへし
題志らず
左大臣
昔を思ひ出でゝむら子の内侍につかはしける
讀人志らず
獨侍りける頃人の許よりいかにぞととぶらひて侍りければ朝顏の花につけて遣はしける
貫之
左大臣のかゝせ侍りけるさうしのおくにかきつけ侍りける
小町があね
題志らず
伊勢
昔あひ知りて侍りける人のうちに侍らひけるがもとに遣はしける
讀人志らず
人に忘られたりときく女のもとに遣はしける
伊勢
かへし
讀人志らず
題志らず
つらかりける男のはらからのもとに遣はしける
かへし
伏見といふ處にて
均子内親王
題志らず
山田法師
讀人志らず
神無月のついたちめのみそか男したりけるを見つけていひなどしてつとめて
兼輔朝臣
十月ばかり面白かりし所なればとて北山のほとりにこれかれ遊び侍りける序でに
坂上是則
おなじ心を
讀人志らず
志はすばかりにあづまよりまできける男のもとより京にあひ知りて侍りける女の許に正月ついたちまで音づれず侍りければ
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