後撰和歌集 (Gosen wakashu [Book 1]) | ||
13. 後撰和歌集卷第十三
戀歌五
在原業平朝臣
題志らず
伊勢
かへし
讀人志らず
つれなく見え侍りける人に
題志らず
小野小町が姉
深養父
女の恨みおこせて侍りければ遣はしける
讀人志らず
あだなる男をあひ志りて心ざしはあると見えながら猶疑はしく覺えければ遣しける
題志らず
兼輔朝臣
女の許にまかりたりけるよ門をさしてあけざりければまかり歸りて旦に遣しける
讀人志らず
かへし
さだかずのみこ
桂のみこにすみはじめけるあひだにかのみこあひ思はぬけしきなりければ
贈太政大臣
忍びたる人につかはしける
讀人志らず
せをそこ通はしけれどもまだあはざりける男をこれかれあひにけりといひ騒ぐをあらがはざなりと恨み遣はしければ
男のつらうなりゆく頃雨の降りければ遣しける
女の許にまかりてえあはで歸りて遣しける
女に物いふ男ふたりありけり。ひとりに返事すと聞きて今一人が遣しける
女の心かはりぬべきを聞きてつかはしける
文遣しける女の親の伊勢へまかりければ共にまかりけるにつかはしける
一條
一條がもとにいとなむ戀しきといひにやりたりければ鬼のかたをかきてやるとて
伊勢
かへし
讀人志らず
人のむすめに忍びて通ひ侍りけるにつらげに見え侍りければ消息ありける返事に
みなれたる女に又物いはむとてまかりたりけれど聲は志ながら隱れければ遣しける
人の許にはじめてまかりてつとめて遣しける
忍びてまできける人の霜のいたくふりける夜まからでつとめてつかはしける
かへし
源英明朝臣
心にもあらで久しくとはざりける人の許につかはしける
藤原爲世
えがたう侍りける女の家のまへよりまかりけるを見ていづこへいくぞといひ出して侍りければ
讀人志らず
題志らず
俊子
男の返事につかはしける
兼茂朝臣女
題志らず
讀人志らず
男の病にわづらひてまからで久しくありて遣はしける
かへし
恨みおこせて侍りける人の返事に
題志らず
女につかはしける
敦忠朝臣
西四條の前齋宮まだみこにものしたまひし時心ざしありて思ふ事侍りける間に齋宮に定まりたまひにければ其あくるあしたに榊の枝につけてさしおかせ侍りける
本院のくら
朝頼の朝臣の年ごろせをそこ通はし侍りける女の許よりようなし今は思ひ忘れねとばかり申して久しうなりにければこと女にいひつきて消息もせずなりにければ
讀人志らず
題志らず
伊勢
かへし
貞元親王
土左がもとよりせをそこ侍りける返事につかはしける
土左
かへし
贈太政大臣
女の許より定めなき心ありなど申したりければ
讀人志らず
男の心かはるけしきなりければたゞなりける時この男の心ざせりける扇にかきつけて侍りける
忍びたる女の許に消息遣したりければ
伊勢
男の忘れ侍りにければ
親の護りける女をいなともせともいひ放てと申しければ
讀人志らず
をとこのいかにぞえまうでこぬ事といひて侍りければ
とまれと思ふ男の出でゝまかりければ
物いひける人の久しう音づれざりけるからうじてまうできたりけるになどか久しうといへりければ
いと忍びてまできたりける男をせいしける人ありけり。のゝじりければ歸り罷りてつかはしける
寛湛法師母
公頼朝臣今まかりける女の許にのみまかりければ
讀人志らず
忍びたる人に
少將内侍
忍びて通ひ侍りける人今歸りてなどたのめ置きておほやけの使に伊勢國にまかり歸りまできて久しうとはず侍りければ
兼輔朝臣
かへし
讀人志らず
女の許につかはしける
かへし
常にまうできて物などいふ人の今はなまうでこそ人もうたていふなりといひ出して侍りければ
内侍平子
左大臣河原にいであひて侍りければ
左大臣
大輔につかはしける
かへし
中務
左大臣に遣しける
左大臣
右近につかはしける
讀人志らず
高明の朝臣に笛をおくるとて
好古朝臣
こと女に物いふと聞きてもとのめの内侍のふすべ侍りければ
中將内侍
かへし
小野道風
題志ず
讀人志らず
かへし
清蔭朝臣
みくしげ殿の別當につかはしける
元良親王
事いできて後に京極の御息所につかはしける
敦忠朝臣
忍びてみくしげ殿のべたうにあひかたらふと聞きて父の左大臣のせいし侍りければ
朝忠朝臣
公頼朝臣のむすめに忍びてすみ侍りけるにわづらふ事ありて志ぬべしといへりければ遣しける
清蔭朝臣
年をへてかたらふ人のつれなくのみ侍りければ移ろひたる菊につけて遣しける
讀人志らず
人の許にまかりたりけるに門よりのみ返しけるにからうじて簾垂のもとに呼びよせてかうてさへや心ゆかぬといひ出したりければ
人のもとにまかりけるをあはでのみかへし侍りければ道よりいひつかはしける
人を思ひかけていひわたり侍りけるをまちどほにのみ侍りければ
業平朝臣
久しくいひわたり侍りけるにつれなくのみ侍りければ
伊勢
かへし
讀人志らず
かへしせぬ人に遣はしける
かへし
かくいひかはす程に三年ばかりになり侍りければ
題志らず
雨のふる日人につかはしける
かへし
女の許にまかりたるに立ちながら歸したれば道よりつかはしける
雨にもさはらずまできてそら物語などしける男の門よりわたるとて雨のいたくふればなむまかりすぎぬるといひたれば
人に忘られて侍りける時
思ひ忘れにける人の許にまかりて
かへし
朝綱朝臣の女に文など遣はしけるをこと女にいひつきて久しうなりて秋とぶらひて侍りければ
男のかれはてぬにことをとこをあひ志りて侍りけるにもとの男の東へまかりけるを聞きてつかはしける
かへし
又女のつかはしける
かへし
かれにける男の思ひ出てまできて物などいひて歸りて
かへし
藤原有好
白ききぬども着たる女どものあまた、月あかきに侍りけるを見てあしたに一人が許につかはしける
讀人志らず
女の許に遣はしける
題志らず
かへし
又をとこ
又かへし
又をとこ
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