同じ年の六月七日に洋行の辞令を貰った。行く先は独逸である。
独逸人の処へ稽古に行く。 壱岐坂 ( いきざか ) 時代の修行が大いに用立つ。
八月二十四日に横浜で舟に乗った。とうとう妻を持たずに出立したのである。