群書類従卷弟三百八下
検校保己一集
物語部二
大和物語 下
群書類従卷第三百八 (Yamato monogatari) | ||
【百六十九】
むかしうとねりなりける人おほうわのみてくら使にやまとの国にくたりけり井手といふわたりにきよけなる人の家より女共わらはへ出きて此いく人を見るきたなけなき女いとおかしけなる子をいたきてかとのもとにたてり此ちこのかほのいとおかしけなりけれはめをとゝめてそのここちゐてこといひけれはこの女よりきたりちかく見るにいとおかしけなりけれはゆめことおとこし給ふな我にあひ給へおほきになり給はんほとにまいりこんといひてこれをかたみにし給へとておひをときてとらせけりさてこの子のしたりけるおひをときとりてもたりけるふみにひきゆひてもたせていぬこの子とし六七はかりに有けりこの男いろこのみなりける人なれはいふになん有けるこれを此子は忘れすおもひもたりけり男ははやう忘れにけりかくて七八年はかり有て又おなしつかひにさゝれてやまとへいくとて井手のわたりにやとりてゐてみれはまへに井なむ有けるそれに水くむ女ともあるかいふやう
群書類従卷弟三百八下
検校保己一集
物語部二
大和物語 下
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