University of Virginia Library

【百七十】

これひらのさいしやう中将にものし給ける時故兵部卿宮の別當したまひけれはつねにまいりなれてこたちもかたらひ給けりその君内よりまかて給けるまゝに風になむあひ給てわつらひ給けるとふらひにくすりの酒さかななとてうして兵衛の命婦なんやり給ひけるそのかへりことにいとうれしうとひ給へることあさましうかゝる病もつくものになんありけるとて

青柳のいとならねとも春風のふけはかたよる我身成けり

とあれはひやうゑの命婦かへし

いさゝめに吹風にやはなひくへき野分過しゝ君にやはあらぬ