群書類従卷弟三百八下
検校保己一集
物語部二
大和物語 下
群書類従卷第三百八 (Yamato monogatari) | ||
【百五十八】
大和国に男女有けり年月かきりなく思ひてすみわたりけるをいかゝしけん女をえてけり猶もあらすこの家にいてきてかへをへたてゝすみてわかゝたにはさらによりこすいとうしとおもへとさらにいひもねたます秋のよのなかきにめをさましてきけはしかなんなきけるものもいはてきゝけりかへをへたてたるおとこきゝ給やにしこそといひけれは何事といらへけれはこのしかのなくはきゝ給ふやといひけれはさきゝ侍りといらへけりおとこさてそれをはいかゝ聞給ふといひけれはをんなふといひけり
我もしか啼てそ人に恋られし今こそよそに声をのみきけ
とよみたりけれはかきりなくめてゝこのいまの女をはをくりてもとのことなんすみわたりける
群書類従卷弟三百八下
検校保己一集
物語部二
大和物語 下
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