University of Virginia Library

【百五十二】

おなしみかとかりいとかしこくこのみ給けりみちのくにいはてのこほりより奉れる御鷹よになくかしこかりけれはになうおほして御手たかにし給けり名をはいはてとなむつけ給へりけるそれをかのみちに心ありてあつかりつかうまつり給ける大納言にあつけ給へりけるよるひるこれをあつかりてとりかひ給ほとにいかゝし給けんそらし給てけり心きもをまとはしてもとむるにさらにえ見いてす山々に人をやりつゝもとめさすれとさらになしみつからもふかき山に入てまとひありき給へとかひもなし此事をそうせてしはしもあるへけれと二三日にあけす御らんせぬ日なしいかゝせんとて内にまいりて御鷹のうせたるよしをそうし給時みかと物ものたまはせすきこしめしつけぬにやあらんとてまたそうし給ふにおもてをのみまもらせ給ふて物ものたまはすたい/\しとおほしたるなりけりと我にもあらぬ心ちしてかしこまりていますかりてこの御たかのもとむるに侍らぬ事いかさまにかし侍らんなとか仰こともし給はぬとそうし給ふときにみかと

いはておもふそいふにまされる

とのたまひけりかくのみのたまはせてことことものたまはさりけり御心にいといひかひなくおしくおほさるゝになん有けるこれをなん世中の人もとをはとかくつけゝるもとはかくのみなむ有ける