出発まで (Oku no Hosomichi) | ||
日光
卯月朔日、御山に詣拝す。往昔、此御山を「二荒山」と書しを空海大師開基の時「日 光」と改給ふ。千歳未来をさとり給ふにや。
、四民安堵の栖穏なり。猶憚多くて筆をさし置ぬ。
あらたうと青葉若葉の日の光
黒髪山は霞かゝりて、雪いまだ白し。
剃捨て黒髪山に衣更
曾良
曾良は河合氏にして、
軒をならべて予が薪水の労をたすく。このたび松しま象潟の眺共にせん事を悦び、且は羈旅の難をいたはらんと旅立暁髪を剃て墨染にさまをかえ惣五を改て宗悟とす。仍て黒髪山の句有。「衣更」の二字力ありてきこゆ。廿餘丁山を登つて瀧有。岩洞の頂より飛流して百尺千岩の碧潭に落たり。
]滝の裏よりみれば、うらみの瀧と申傳え侍る 也。
暫時は瀧に篭るや夏の初
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