あくれば、しのぶもぢ摺の石を尋て忍ぶのさとに行。遥山陰の小里に石半土に埋てあ り。里の童部の来りて教ける。昔は此山の上に侍しを往来の人の麦草をあらして此石 を試侍をにくみて此谷につき落せば、石の面下ざまにふしたりと云。さもあるべき事 にや。