岩沼に宿る。
武隈の松にこそめ覚る心地はすれ。根は土際より二木にわかれて、昔の姿うしな はずとしらる。先能因法師思ひ出、往昔むつのかみにて下りし人、此木を伐て、名取 川の橋杭にせられたる事などあればにや。松は此たび跡もなしとは詠たり。代々ある は伐、あるひは植継などせしと聞に、今将千歳のかたちとゝのほひて、めでたき松の けしきになん侍し。
武隈の松みせ申せ遅桜と挙白と云ものゝ餞別したりければ、