鐙摺白石の城を過、笠嶋の郡に入れば、藤中将実方の塚はいづくのほどならんと人に とへば、是より遥右に見ゆる山際の里をみのわ笠嶋と云。道祖神の社、かた見の薄今 にありと教ゆ。此比の五月雨に道いとあしく、身つかれ侍れば、よそながら眺やりて 過るに、蓑輪笠嶋も五月雨の折にふれたりと、