越前の境、吉崎の入江を舟に棹して汐越の松を尋ぬ。
此一首にて数景尽たり。もし一辧を加るものは、無用の指を立るがごとし。
丸岡天竜寺の長老古き因あれば尋ぬ。又金沢の北枝といふもの、かりそめに見送 りて、此處までしたひ来る。所々の風景過さず思ひつゞけて、折節あはれなる作意な ど聞ゆ。今既別に望みて、
五十丁山に入て永平寺を礼す。道元禅師の御寺也。邦機千里を避て、かゝる山陰 に跡をのこし給ふも貴きゆへ有とかや。