University of Virginia Library

こしなるや松の山べの
をとめごが母に別れて
忍びずて逢ひ見んことを
むらぎもの心にもちて
あらたまの年の三とせを
すぐせしがしはすの暮に
市に出でもの買ふ時に
ます鏡手にとり見れば
汝が面の母に似たれば
母とじは母にますかと
よろこびています日のごと
こととひて有りの限りの
價もて買うて返りて
あさなけに見つつしぬぶと
きくがともしさ