良寛歌集 (Kashu) | ||
増補
最近某家の歌反古の中から發見のもの
「國上山谷の白雪ふみわけて霞とともに君はたち來ぬ」 鵲齋。この歌の返歌
花咲けば待つには久し久方の雪ふみわけて我がいでて來し
くがみ山雪ふみわけて來しかどもわかなつむべくみはなりにけり
人の秋山より紅葉を折りてかへるを見て
うべしこそ鹿ぞ鳴くなるあしびきの山の紅葉は色つきにけり
○
今日もかもむかひのをかにさを鹿のしぐれの雨にぬれつつたたむ
いまよりは行來の人も絶えぬべし日に日に雪のふるばかりして
こののべに枝折やせましひさがたの又來ん秋はたづね來んため
こことくもとりみとらずみ見つれども此のおほみうちわよろしか
りけり
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