良寛歌集 (Kashu) | ||
おなじ 題又山寺梅
つぬさはふ岩坂山の
山越えにみ寺の梅を
垣越しにほの見てしより
さねこじの根こじにせんと
むらぎもの心にかけて
霞立つ長き春日を
忍びかね夕さり來れば
からにしき里たち出でて
はたすすき大野をすぎて
千鳥なく濱べをとほり
ま木立てる荒山こえて
岩が根のこごしき道を
ふみさくみ辿り/\に
忍びつつうら門まはり
大寺の垣根に立てば
寺守のこや盗人と
呼ばはれば里に聞えて
里人はおのも/\に
手をあかちしもとをとりて
あしびきのみ山もさやに
笹の葉の露をおしなみ
たまぼこの道もなきまで
かくみつつ然しよりして
天が下に花盗人と
名のらへし君にはませど
うつせみの世のことなれば
いつしかも年のへぬれば
葦の屋のふせ屋がもとに
夜もすがら八つかのひげを
かいなでておはすらんかも
この月ごろは
山越えにみ寺の梅を
垣越しにほの見てしより
さねこじの根こじにせんと
むらぎもの心にかけて
霞立つ長き春日を
忍びかね夕さり來れば
からにしき里たち出でて
はたすすき大野をすぎて
千鳥なく濱べをとほり
ま木立てる荒山こえて
岩が根のこごしき道を
ふみさくみ辿り/\に
忍びつつうら門まはり
大寺の垣根に立てば
寺守のこや盗人と
呼ばはれば里に聞えて
里人はおのも/\に
手をあかちしもとをとりて
あしびきのみ山もさやに
笹の葉の露をおしなみ
たまぼこの道もなきまで
かくみつつ然しよりして
天が下に花盗人と
名のらへし君にはませど
うつせみの世のことなれば
いつしかも年のへぬれば
葦の屋のふせ屋がもとに
夜もすがら八つかのひげを
かいなでておはすらんかも
この月ごろは
まらたまの年はきえ行き年はへぬ花ぬす人はむかしとなりぬ
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