良寛歌集 (Kashu) | ||
おなじうた(定稿なるが如し)
鉢の子は愛しきものかも
しきたへの家出せしより
あしたにはかひなにかけて
夕べにはたなへにのせて
あらたまの年のを長く
持たりしを今日よそに
忘れて來ればたつらくの
たづきも知らず居るらくの
すべをも知らずかりこもの
思ひみだれて夕づつの
か行きかく行き谷ぐくの
さわたる底ひ天ぐもの
むかふすきはみ天地の
よりあひの限り杖つきも
つかずも行きてとめなんと
思ひし時に鉢の子は
ここにありとて我がもとに
人は持て來ぬいかなるや
人にませかもちはやふる
神ののりかもぬばたまの
夜の夢かも嬉しくも
持て來るものかよろしなべ
持ち來るものかその鉢の子を
しきたへの家出せしより
あしたにはかひなにかけて
夕べにはたなへにのせて
あらたまの年のを長く
持たりしを今日よそに
忘れて來ればたつらくの
たづきも知らず居るらくの
すべをも知らずかりこもの
思ひみだれて夕づつの
か行きかく行き谷ぐくの
さわたる底ひ天ぐもの
むかふすきはみ天地の
よりあひの限り杖つきも
つかずも行きてとめなんと
思ひし時に鉢の子は
ここにありとて我がもとに
人は持て來ぬいかなるや
人にませかもちはやふる
神ののりかもぬばたまの
夜の夢かも嬉しくも
持て來るものかよろしなべ
持ち來るものかその鉢の子を
道のべの菫つみつつ鉢の子を忘れてぞ來し其の鉢の子を
鉢の子をわれ忘るれど取る人はなし取る人はなし鉢の子あはれ
良寛歌集 (Kashu) | ||