University of Virginia Library

鹽入峠の道こしらへたるをよろこびて

越の浦角田の濱の
朝凪にいざなひて汲み
夕なぎにつれてやくてふ
鹽いりの坂はかしこし
上見れば目にも及ばず
下見れば魂もけぬべし
千里行く駒も進まず
み空行く雲もはばかる
其の坂を善けく安けく
平けくなしけん人は
如何なるや人にませかも
ちはやふる神ののりかも
み佛のつかはせるかも
ぬば玉の夜の夢かも
うつつかもかにもかくにも
言はんすべせんすべ知らに
しほいりの坂にむかひて
三たびをろがむ
しほのりの坂は名のみになりにけり行く人しぬべ萬代までに