University of Virginia Library

國上の山を出づるとて

あしびきの國上の山の
山かげの森の下やに
幾年か我が住みにしを
からころもたちてし來れば
夏草の思ひしなへて
夕づつのか行きかく行き
其の庵のいかくるまでに
其の森の見えずなるまで
たまぼこの道の隅ごと
隅もおちずかへり見ぞする
其の山のべを