University of Virginia Library

み林

大殿のとのゝみ山の
み林は幾世へぬらん
ちはやふる神さび立てり
そのもとに庵をしつつ
朝にはいゆきもとほり
夕べにはそこに出で立ち
立ちて居て見れどもあかぬ
これのみ林
えにしあらば又も住みなん大殿の森の下庵いたくあらすな
山かげのありその波の立ちかへり見れどもあかぬこれのみ林
おほとのの林のもとに庵しめぬ何かこの世に思ひ殘さん
大殿の林のもとを清めつつ昨日も今日も暮しつるかも
月夜にはいもねざりけり大殿の林のもとに往きかへりつつ