良寛歌集 (Kashu) | ||
わくらば
わくらばに人となれるを
打ちなびきやまふのとこに
ふしこやし癒ゆとはなしに
いたづきの日にけにませば
そこ思ひみをおもそふに
思ふそら安からなくに
なげく空苦しきものを
あからひく晝はしみらに
水鳥の息つき暮し
ぬばだまの夜はすがらに
人のぬる安いもいねず
たらちねの母がましなば
かい撫でてたらはさましを
わかくさの妻がありなば
とりもちてはぐくまましを
家とへば家もはふりぬ
はらからもいづちいぬらん
うからやもひとりも見えず
つれもなく荒れたる宿を
うつせみのよすがとなせば
うづら鳴くふる里すらを
くさ枕旅ねとなせば
一日こそ堪へもしつらめ
二日こそ忍びもすらめ
あらたまの長き月日を
いかにして明かし暮さん
うちつけに死なめともへど
たまきはるさすが命の
をしければかにもかくにも
すべをなみ音をのみぞ泣く
ますらをにして
打ちなびきやまふのとこに
ふしこやし癒ゆとはなしに
いたづきの日にけにませば
そこ思ひみをおもそふに
思ふそら安からなくに
なげく空苦しきものを
あからひく晝はしみらに
水鳥の息つき暮し
ぬばだまの夜はすがらに
人のぬる安いもいねず
たらちねの母がましなば
かい撫でてたらはさましを
わかくさの妻がありなば
とりもちてはぐくまましを
家とへば家もはふりぬ
はらからもいづちいぬらん
うからやもひとりも見えず
つれもなく荒れたる宿を
うつせみのよすがとなせば
うづら鳴くふる里すらを
くさ枕旅ねとなせば
一日こそ堪へもしつらめ
二日こそ忍びもすらめ
あらたまの長き月日を
いかにして明かし暮さん
うちつけに死なめともへど
たまきはるさすが命の
をしければかにもかくにも
すべをなみ音をのみぞ泣く
ますらをにして
あらたまの長き月日をいかにしてあかしくらさんあさで小ぶすま
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