良寛歌集 (Kashu) | ||
五陰皆空と照見して一切の苦厄を度すといふ心をよめ る
世の中ははかなきものぞ
あしびきの山鳥の尾の
しだり尾のなが/\し世を
百よつぎ五百代をかけて
よろづ代にきはめて見れば
枝にえだちまたに巷
わかろへてたどるみちなみ
立つらくのたづきも知らず
をるらくのすべをも知らず
解き衣の思ひみだれて
浮き雲の行くへも知らず
言はんすべ爲んすべ知らず
沖にすむ鴨のはいろの
水鳥のやさかの息を
つきゐつつ誰れに向ひて
うたへまし大津のへに居る
大船のへづな解き放ち
とも綱とき放ち大海原のへに
おし放つことの如くをち方や
繁木がもとをやい鎌のとがまもて
うち拂ふことの如く五つのかげを
さながらに五つのかげと
知るときは心もいれず
こともなくわたし盡しぬ
世のこと%\も
あしびきの山鳥の尾の
しだり尾のなが/\し世を
百よつぎ五百代をかけて
よろづ代にきはめて見れば
枝にえだちまたに巷
わかろへてたどるみちなみ
立つらくのたづきも知らず
をるらくのすべをも知らず
解き衣の思ひみだれて
浮き雲の行くへも知らず
言はんすべ爲んすべ知らず
沖にすむ鴨のはいろの
水鳥のやさかの息を
つきゐつつ誰れに向ひて
うたへまし大津のへに居る
大船のへづな解き放ち
とも綱とき放ち大海原のへに
おし放つことの如くをち方や
繁木がもとをやい鎌のとがまもて
うち拂ふことの如く五つのかげを
さながらに五つのかげと
知るときは心もいれず
こともなくわたし盡しぬ
世のこと%\も
うつし身のうつし心のやまぬかもうまれぬ先にわたしにし身を
つの國のなにはのことはよしゑやし唯一と足
をすすめもろ人
良寛歌集 (Kashu) | ||