万葉集 (Manyoshu) | ||
1453
[題詞]天平五年癸酉春閏三月笠朝臣金村贈入唐使歌一首[并短歌]
[原文]玉手次 不懸時無 氣緒尓 吾念公者 虚蝉之 <世人有者 大王之> 命恐 夕去者
鶴之妻喚 難波方 三津埼従 大舶尓 二梶繁貫 白浪乃 高荒海乎 嶋傳 伊別徃者 留有
吾者幣引 齊乍 公乎者将<待> 早還万世
[訓読]玉たすき 懸けぬ時なく 息の緒に 我が思ふ君は うつせみの 世の人なれば 大
君の 命畏み 夕されば 鶴が妻呼ぶ 難波潟 御津の崎より 大船に 真楫しじ貫き 白波
の 高き荒海を 島伝ひ い別れ行かば 留まれる 我れは幣引き 斎ひつつ 君をば待た
む 早帰りませ
[仮名],たまたすき,かけぬときなく,いきのをに,あがおもふきみは,うつせみの,よのひ
となれば,おほきみの,みことかしこみ,ゆふされば,たづがつまよぶ,なにはがた,みつの
さきより,おほぶねに,まかぢしじぬき,しらなみの,たかきあるみを,しまづたひ,いわか
れゆかば,とどまれる,われはぬさひき,いはひつつ,きみをばまたむ,はやかへりませ
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