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20. 千載和歌集卷第二十
神祇歌
上東門院
後一條院の御時はじめて春日の社に行幸ありけるに一條院の御時の例をおぼしめしいださせ給うてよませ給うける
大納言經輔
長元八年關白左大臣歌合志侍りけるのち左方の人よろこびに住吉に詣でゝ歌よみ侍りけるに左の頭にてよみ侍りける
後二條内大臣
白河法皇熊野へまゐらせ給うける御供にて志ほやの王子の御前にて人々歌よみ侍りけるによみ侍りける
崇徳院御製
百首の歌めしける時神祇の歌とてよませ給うける
藤原清輔朝臣
大納言隆季
中納言家成住よしにまうでゝ歌よみ侍りける時よめる
右大臣
大納言辭し申して出で仕へず侍りける時住吉の社の歌合とて人々よみにけるに述懷の歌とてよみ侍りける
その後神感あるやうに夢想ありて大納言にも還任して侍りけるとなむ。
皇太后宮大夫俊成
おなじ歌合に
右大臣
おなじ歌合に社頭月といへる心をよみ侍りける
俊惠法師
權大納言實國
廣田の社の歌合とて人々歌よみ侍りける時社頭雪といへる心をよみ侍りける
按察使資賢
有馬の湯に忍びて御幸ありける御供に侍りけるに湯の明神をば三輪の明神となむ申し侍ると聞きて物にかき付け侍りける
權中納言經房
熊野にまうでゝ侍りける時發心門の王子にてよみ侍りける
僧都範玄
三輪の社にて霞をよめる
平實重
藏人にならぬことを歎きて年來賀茂の社にまうで侍りけるを二千三百度にもあまりける時貴舟の社にまうでゝ柱にかきつけゝる
かくて後なむ程なく藏人になり侍りにける。近衛院の御時なり。
賀茂政平
片岡のはふりにて侍りけるをおなじ社の禰宜にわたらむと申しける比よみてかきつけ侍りける
その後なむ禰宜にまかりなりにける。
式子内親王
百首の歌の中に神祇の歌とてよみ給ひける
賀茂重保
賀茂の社の歌合とて人々すゝめてよみ侍りける時述懷の歌によめる
皇太后宮大夫俊成
おなじき社の後番の歌合の時月の歌とてよめる
法印慈圓
述懷の歌の中によみ侍りける
法橋性憲
日吉の大宮の本地を思ひてよみ侍りける
中原師尚
日吉の社に御幸侍りける時、雨のふり侍りける其時になりてはれにければよみ侍りける
圓位法師
高野の山を住みうかれて後、伊勢國二見浦の山寺に侍りけるに太神宮の御山をば神路山と申す大日如來の御垂跡を思ひてよみ侍りける
大中臣爲定朝臣
治承四年遷都の時伊勢太神宮に歸りまゐりて君の御祈念し申し侍りてよみ侍りける
そののち世の中なほり侍りけるとなむ。
能蓮法師
石清水の社に歌合とて人々よみ侍りける時社頭月といへる心をよめる
藤原義忠朝臣
長元九年後朱雀院の御時大甞會の主基方の神あそびの歌、丹波國神なび山をよめる
藤原經衡
治暦四年後三條院の御時大甞會の主基方の神樂の歌いはや山をよめる
前中納言匡房
寛治元年堀川院の御時大甞會の悠紀方の神あそびの歌、諸神の郷をよめる
宮内卿永範
久壽二年院の御時、大甞會の悠紀方の神樂の歌、近江國木綿園をよめる
嘉應元年高倉院の御時大甞會の悠紀方の神あそびの歌、近江國守山をよめる
權中納言兼光
壽永元年大甞會の主基方の歌よみて奉りける時神樂歌丹波國神なび山をよめる
藤原季經朝臣
元暦元年今上の御時大甞會の悠紀方の歌奉りける神遊の歌、近江國諸神の郷をよめる
藤原光範朝臣
おなじ大甞會の主基方の歌よみたてまつりける神樂の歌、丹後國千年山をよめる
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