詞花和歌集 (Shika wakashu) | ||
8. 詞花和歌集卷第八
戀下
藤原相如
人しづまりてこといひたる女のもとへ待ちかねてとく罷りたりければかくやは云ひつるとていであはず侍りければいひ入れ侍りける
藤原道經
題志らず
清原元輔
女のもとより曉かへりて立ち歸りいひつかはしける
藤原顯廣朝臣
左京大夫顯輔の家にて歌合志侍りけるによめる
藤原實方朝臣
女のもとより夜ふかく歸りてあしたに遣はしける
讀人志らず
長月の晦日の日のあしたに始めたる女のもとよりかへりて立ち歸りつかはしける
藤原範綱
左衛門督家成歌合志侍りけるによめる
和泉式部
藤原保昌の朝臣にぐして丹後國へまかりけるに忍びてものいひける男のもとへいひつかはしける
大江爲基
ものいひ侍りける女のもとへいひつかはしける
一宮紀伊
夜がれせずまうで來ける男の秋立ちける日その夜しもまうでこざりければあしたにいひ遣はしける
坂上明兼
女のもとにまかりたりけるに親のいさむれば今はえなむあふまじきといはせて侍りければよめる
惠慶法師
題志らず
右大臣
等思兩人といふ事をよめる
赤染衛門
をとこに忘られて歎きける頃八月ばかりにまへなる前栽の露をよもすがらながめてよめる
曾禰好忠
題志らず
關白前太政大臣
新院くらゐにおはしましける時雖契不來戀といふ事をよませ給ひけるによみ侍りける
和泉式部
題志らず
月のあかゝりけるよまうで來たりける男の立ちながら歸りければあしたにいひ遣はしける
讀人志らず
題志らず
平公誠
最嚴法師
弟子なりけるわらはのおやにぐして人の國へあからさまにとてまかりけるが久しく見えざりければたよりにつけていひ遣はしける
和泉式部
たのめたりける男をいまや/\と待ちけるにまへなる竹の葉に霰の降りかゝりけるを聞きてよめる
さがみ
程なく絶えにける男のもとへいひ遣はしける
清原元輔
かよひける女のこと人に物いふときゝていひ遣はしける
俊子内親王大進
久しく音せぬ男につかはしける
高階章行朝臣女
男の絶々になりける頃いかにと問ひたる人の返事によめる
律師仁祐
いとほしく侍りけるわらはの大僧正行尊が許へまかりにければいひ遣はしける
大僧正行尊
返事、わらはにかはりて
皇嘉門院出雲
左衛門督家成長月の晦日頃にはじめていひそめていかなる事かありけむ、絶えて音づれ侍らざりけるが其冬ごろ、聞くことのあればはゞかりてえなむいはぬといはせて侍りける返事によめる
中納言國信
家に歌合志侍りけるに逢うて遇はぬ戀といふことをよめる
藤原仲實朝臣
藤原基俊
關白前太政大臣の家にてよめる
清少納言
心かはりたる男にいひつかはしける
讀人志らず
久しく音せぬ男にいひ遣はしける
讀人志らず
中納言通俊絶え侍りければ云ひつかはしける
中納言通俊
返し
和泉式部
おなじ所なる男のかきたえにければよめる
さがみ
大江公資にわすれられてよめる
讀人志らず
題志らず
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