詞花和歌集 (Shika wakashu) | ||
1. 詞花和歌集卷第一
春
大藏卿匡房
堀河院の御時百首の歌奉りけるに春たつ心をよめる
藤原惟成
寛和二年内裏の歌合に霞をよめる
平兼盛
天徳四年内裏の歌合によめる
道命法師
はじめて鶯の聲をきゝてよめる
曾禰好忠
題志らず
源重之
冷泉院春宮と申しける時百首の歌奉りけるによめる
赤染衛門
鷹司殿の七十賀の屏風に子日したるかたかきたる所によめる
新院御製
題志らず
源時綱
梅花遠薫といふ心を
右衛門督公行
梅花をよめる
俊惠法師
題志らず
僧都覺雅
平兼盛
天徳四年内裏の歌合に柳をよめる
源季遠
贈左大臣の家の歌合によめる
源道濟
古郷の柳をよめる
源頼政
題志らず
康資王母
京極前太政大臣の家に歌合志侍りけるによめる
京極前太政大臣
この歌を判者大納言經信紅の櫻は詩に作れども歌にはよみたることなむなきと申しければあしたにかの康資王の母の許に遣しける
康資王母
かへし
一宮紀伊
おなじ歌合によめる
大藏卿匡房
大納言公實
承暦二年内裏の後番歌合によめる
前齋院出雲
遠山のさくらといふ事をよめる
戒秀法師
題しらず
源俊頼朝臣
志ら川に花見にまかりてよめる
白河院御製
所々に花を尋ぬと云事を詠せ給ける
源師賢朝臣
橘としつなの朝臣のふしみの山庄にて水邊櫻花といふことをよめる
伊勢大輔
一條院の御時ならの八重櫻を人の奉りけるを其折御前に侍りければその花を題にて歌よめとおほせごとありければ
右近中將教長朝臣
新院のおほせ事にて百首のうた奉りけるによめる
源登平
人々あまたぐして櫻の花を手ごとは折りて歸るとてよめる
道命法師
題志らず
贈左大臣母
歸雁をよめる
源忠季
藤原元眞
櫻の花のちるを見てよめる
大中臣能宣朝臣
天徳四年内裏の歌合によめる
攝津
太皇太后宮賀茂のいつきと聞え給ひける時人々まゐりて鞠つかうまつりけるに硯のはこのふたに雪をいれていだされたりけるしき紙にかきつけ侍りける
源俊頼朝臣
住みあらしたる家の庭に櫻の花のひまなくちり積りて侍りけるを見てよめる
源師賢朝臣
橘としつなの朝臣のふしみの山庄にて水邊落花といふことをよめる
藤原範永朝臣
藤原兼房の朝臣の家にて老人惜花といふことをよめる
花山院御製
庭の櫻の散るを御覽じてよませ給ひける
源俊頼朝臣
さくらの花のちるを見てよめる
花薗左大臣
落花滿庭といふ事をよめる
大中臣能宣朝臣
題志らず
藤原長能
寛和二年内裏の歌合によめる
讀人志らず
麗景殿の女御の家の歌合によめる
太皇太后宮肥後
堀河院の御時百首の歌奉りけるによめる
關白前太政大臣
新院位におはしましゝ時牡丹をよませ給ひけるによみはべりける
橘俊綱
老人惜春といふ事をよめる
新院御製
三月盡日うへのをのこどもを御前にめして春の暮れぬる心をよませさせ給ひけるによませ給ひける
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