University of Virginia Library

附記

「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」は昨年の一月から書きはじめられ、二回休んだが殆どまる一年続いた。

 誰かが、ナカナカつづくね。書いてるうちに五ヵ年計画がすんじまうよ、と云ったが、この冗談は真実を云い当てている。何故なら、五ヵ年計画が進捗するにつれてソヴェト同盟の芸術運動の展開は著しく、去年より今年、今年より来年と、建設の新しい客観的情勢の動きにつれて、プロレタリア文学も育ちのいい赤坊のようにのび太って来る。書くべきことにはきりがない。それこそマルクシズム・レーニズムの旗の下にすすむプロレタリア芸術のつきない創造性というものだ。

 然し、わたしは一先ずここで、この記録はうち切りたいと思う。後から後からの愉快なニュースは、別にニュースとして報告しつづけて行こう。(特にこの号に湯浅芳子が発表しているソヴェト文壇ニュースは、面白いものだ。大いに参考になる。必ずあわせ読まれたい)

 この中に、書きもらされている部分の或る点は、内外社出版の『綜合プロレタリア芸術講座』第一巻にある。ないもの、足りない部分はこれからそれぞれにわけてとりあげて行こうと思う。

〔一九三一年一月―一九三二年一月〕